俺達北上
ガタンゴトン。ガタンゴトン。俺達は北上。鳥取へ。すると、窓側に座る、順子は、また、笑う。
「ねえ、あなた。結婚指輪、交換してないよ」
「ああ、そういえばそうだな。俺ってヒモだから、順子、指輪を買ってくれ」
「勿論」
不可思議だった。不可思議な思いが頭にヨギッタ。俺、実際、この人と結婚したんだ。俺、実際、順子とホテル住まい。自動車教習所。全てが上手くいっているのに。
「圭吾、恋山形駅って恋の神様がいるんだって。もうすぐ、恋山形だよ」
「そうか」
車窓にはピンク色の駅舎。ハートマークがいたるところに。THE、恋山形。俺にもたれかかる順子
。もしも、記憶が戻ったら。俺は、どんな人生を送ってきたのだろうか。ふと、不安になる。ガタンゴトン。ガタンゴトン。列車は走る。俺は順子の写真を、撮った。喜ぶ順子。いちゃいちゃとするだけではない。何かが待っている。ガタンゴトン。ガタンゴトン。
「ご乗車ありがとうございました。鳥取、鳥取です」
アナウンスが車内に響く。
「行こうか。圭吾」
「うん」
「駅に着いたら、レンタカー、借りるよ」
「そうか。悪いな」
俺達はスーツケースを片手に鳥取駅のホームへ降りる。へえ。いい感じだな。のんびりしてる、北の街。改札を潜り、俺と順子は、駅レンタカーと書かれた看板へと向かう。いよいよ、戦か。免許取得で、順子を乗せて走りたい。俺って、元レーサーなんだろう。記憶はないけれど。やっぱり、順子は金持ちだ。ベンツのレンタカーを借りていた。俺は、助手席に座り、この有難さに感謝した。指輪か。




