カメラマン誕生ナルナル
順子は、姫路駅の改札を潜り、俺も続く。スーツケースか。駅前にはデパートが。二人、珍しく、手を繋ぐ。一階のかばん屋。青いスーツケースと黒いスーツケース。順子は、それをご購入。二人。喫煙所に向かう。順子が笑った。
「圭吾さ。私と姫路城、写真に撮ってくれない。一眼レフ。買ってあげよう」
「か、金持ちっていいな」
「そうよ。あなた」
タバコを消す二人。ぎゅうぎゅう詰めの鞄から荷物をすべて、男子トイレで捨てては、スーツケースにすべてを詰め込む。俺が小便を済まして、トイレを出ると、青いスーツケースを持って、笑い続ける順子がいた。二人はタクシーを拾う。順子は運転手にカメラ屋が近くにないかと聞いている。二人を乗せたタクシーは西へと走る。あったあった。『カメラのフクシマ』デカい赤い看板を嬉しそうに見る順子。
「ちょっと待ってて。カメラとフィルム、買ってくるよ。金持ちっていいでしょう」
「そ、そうだな」
俺はタクシーを降りて、タバコに火を点け、自販機の缶コーヒーを買う。俺って今日からカメラマンにもなるの。藤原順子専属の。まあ、いいわ。特に趣味があるわけでもないしな。順子が走って俺のもとへ帰ってくる。いきなり、順子は俺のおでこにキスをした。
「愛してるよ」
「笑えないよ」
と二人を乗せたタクシーは姫路城に急ぐ。今日は冷える。そういえば、そろそろ、クリスマス、新年だな。俺ってバカだ。記憶喪失。
「圭吾、撮って、撮ってよ」
「はいはい」
一眼レフか。ナルシストのような嫁の写真と姫路城を撮る、俺という旦那。カメラって面白いな。
「もっと、撮って」
「はいはい」
すると、雨。雨が降ってきた。「行くよ」と、また、お城の前でタクシーに乗る俺達。姫路駅へ。特急に乗り換えか。俺達、夫婦は、プラットホームで鳥取行きの特急を待つ。ぼちぼち、行くか。と思ったら、丁度いい特急電車がやって来た。
「いよいよ、鳥取だね」
「そうだな」
「私をたくさん、撮ってね」
「お前ってナルだなあ」
深く笑みを浮かべて、順子と俺は、鳥取行きの特急電車、スーパーはくとに乗り込んだ。俺ってなんだ。




