第90話 終わりが語る何か
『なんだ…これは…』
イナバンは空に居た。
死神であるその目は世界の全てを見通し過去も未来も認知できる。
その目を持つからこそイナバンは理解できない状況に思考が停止しているのだ。
『止まってる?』
その目に映し出されるのは全てが停止した世界。
過去も未来も同じ映像しか見通せないのだ。
人だけでなく機械や動くべき全ての事象が停止した世界の中をイナバンは見通していた。
その頭の中で思い出される声?音?この現象の切っ掛けとなったそれ…
『END』
それが意味するのは一体何なのか理解できないイナバンは一番近くに居た人間の命を奪おうと力を使う。
本来であれば竜一やまなみの様に即座に死を迎える筈のその人間には何も起こらなかった。
時間が停止している為か変化そのものが起こらないのだ。
「無駄だよ」
『誰だ?!』
突然聞こえたその声に嬉しいような気持ちが浮かんだ。
音すらも存在しない世界でどれ程の時間一人で居たのか分からないイナバンは声の主を探す。
後ろに居たのは停止した配下の死神達。
何処にもその存在を確認できなかったイナバンは怒りを露にし始めるがそれを嘲笑うようにそいつは姿を表した。
「イナバン、まだ分からないのかい?お前は負けたんだよ」
そこに居たのは死んだ筈のまなみ。
万物を見通せる筈のその目ですら理解の及ばない何かに震えを感じるイナバンは何度も何度も殺そうと力を使う。
だがまなみは何事も無いように振る舞い笑う。
「万物を見通せる存在にしてあげて最初から全てを晒しているのにまだ気付かないの?」
『なに?何を言って…』
「じゃあ答えを教えてあげるよ、その目で見てごらん…あらすじを!」
その言葉にイナバンの脳内にその文章が浮かび上がる。
運動も勉強も駄目だがゲームだけは上手い坂上竜一は異世界へ転生する時に死神から最悪最凶のスキル『デスゲームメーカー』を受けとる。
そして、それを理解したイナバンは全てを思い出した。




