第39話 リリンとロッツォの母
少しだけ時は戻る。
男が一人木の方へ向かったのを見送ったリリンとロッツォの母は建物の影で身を潜めていた。
声を出せば奴等に気付かれると判断しロッツォの母に抱き締めるように守られているリリンは悩んでいた。
あの場にいた筈のロッツォの母はリリンの父が悪魔だった事を知っている筈なのだ。
だがそれを気にした様子もなく今まで通り接してくれてるロッツォの母に感謝しつつもロッツォが自分のせいで死んだのが頭の中でグルグル巡っていたのだ。
「おばさん…あの…」
伝えるべきか悩んで悩み抜いた結論は伝える事であった。
それで嫌われても良い、むしろ悪魔の子供である自分が人に愛してもらうのは駄目だと考えたのだ。
そして、口を開いたときであった。
「きゃぁ?!」
突然上がるロッツォの母の悲鳴!
離された手から距離をとってリリンはそれを見て戦慄した。
それはこの村の門番だった男であった。
それも上半身のみの状態でロッツォの母親の足に噛みついていたのだ!
「逃げな!あんただけでも!」
ロッツォの母親の声に反応して上半身のみの門番は足を食い千切りロッツォの母親を倒す。
そして、倒れたロッツォの母親に向かって何かが走っていた。
リリンは更にそれを見て固まった。
それは仕方無いだろう、走ってたのが下半身のみなのだから。
切断面から内臓が触手のようにウネウネと垂れている下半身は叫ぶロッツォの母親に向かって倒れ込む。
「いやぁぁぁ?!なにこれいやぁぁぁ?!?!」
叫ぶのも仕方あるまい、切断面の内臓がまるで別の生き物のように下半身から飛び出しロッツォの母親に巻き付こうとしているのだから。
丁度その時、村の広場から大きな音が響く!
それに気を取られたのか突如ロッツォの母親を襲っていた上半身と下半身は動きを止めた。
そして、向きを変えて村の広場を目指して動いていく…
そこには血塗れとなったロッツォの母親が残されたのだが…
その胸は小さく上下しており、リリンは安堵しその場に座り込むのであった。




