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美双聖旗  作者: 野果実
1章 『普通であって』
3/4

3.始まった「普通」

時は少々進んで、由樹音視点のお話。

入寮までの1週間。

本当に目まぐるしくすぎて、あっという間だった。



だんだん、スポーツ系と文化部系とでまとまりが出来てきて、休み時間の教室には談笑が見られるようになった。

まぁ、私はほとんど他の人と喋ってなかったけど。


昨日から始まった授業は、先生達の長い話と中学校の復習ばかりで、簡単だった。

ただ、大変だったのは、授業が始まるより前の日にやった、自己紹介とか学級組織決めとか。

しょっちゅう喋らなきゃいけないから、頭がフル稼働だ。これが、パソコンとかの機械類に対してなら楽しいのに、人に対してだと本当に難しい。



なんだかんだ言って、特に目立つ行動もしなかったんだけどね。


────────────────────


「ただいまー」

「ただいま。」


玄関に響く間延びした和花姉ちゃんの声と、呟いた私の声。二人揃って帰宅する、いつもの光景。そして…


「おかえり。ご飯出来てるわよー。」


明日からしばらく、おあずけになってしまう光景。

明日は入寮日。もう荷物はしっかりまとめてあるし、心配することはないけど、お母さんとお父さんに会えなくなるのは少しさみしいかな…



そんな事を考えながら自分の部屋に行き、制服であるブレザーのボタンを外していく。脱いでハンガーに掛けたそのブレザーは、まだ新品同様にぴしっとしている。スカートも、ブラウスも、無駄なシワが一切無い。


そう言えば…先輩たちの制服、全くシワが見えなかったし、ブレザーもキレイだったな。

きっと、しっかり手入れして大切に扱っているんだろうな。さすが、『良い女性を育む』と教育目標を掲げているだけはあるって感じ。私も頑張らなくちゃ…




リビングにある食卓につくと、和花姉ちゃんはもう座っていた。


「「「「いただきます」」」」


お母さん、お父さん、和花姉ちゃん、私。四人分の声がしっかり揃う。

明日からは聞けない…と考えて、本当に家族は良いな、と改めて思う。



「明日入寮日よね。頑張ってね。」と、お母さんが言う。

「うん!楽しみだなー」

「由樹音も頑張るのよ。」

「はーい。」


本当は寂しいけど、成長するため。

いつまでも家族に甘えてちゃいけないから。


「夏休みには帰ってくるんだろう?」と、お父さん。

「うん。ちゃんと帰ってくるよー。」

「そうだよ。」


本当はもっと早く帰って来たいけど。夏休みまでは原則帰れないというルールがあるそうだから、仕方ない。


「あなた達が美聖学院の資料持ってきた時は驚いたわ。」と、お母さん。

「あれ?お母さんは美聖学院のこと知ってたの?」と、和花姉ちゃん。

「そうじゃなくて、全寮制の学校ってことに驚いたの。私も全寮制の高校に通っていたから。」

「そうなの!?びっくりした…」

「えっ!?」


和花姉ちゃんが珍しく本気で驚いていたから、私は和花姉ちゃんに驚いた。


お母さんは続ける。

「ええ。最初は自分でやることが増えて大変だったけど、できることが増えていったから嬉しかったわ。おかげで今も、家事が早くできるわ。」


お母さんは、果実株式会社という広告会社の社長をしている。お母さんが立ち上げた、今かなり有名な会社。

そんな会社を運営しながらも、家事を欠かさないお母さんはやっぱりすごい。



私も寮で頑張ったら、お母さんみたいな人になれるかな。



そういえば、お父さんも別の会社の社長をやっている。イリノ家具という家具チェーン店の社長なんだけど、これまた有名な会社。

初めは本部に務める普通の社員だったのに、当時の社長に気に入られて、社長の座を譲られたと聞いている。まだお父さんは46歳だから、入社して何年目のことなんだろう…。


良く考えると、本当に優秀な両親を持っているような気がする。



私も、お母さん達みたいな人間になりたい。

私にしては、長く書きました。

雰囲気を出したいから、描写は大切にしたい。でもだらだらするのも良くない。(主に私が物語の構想を忘れるため)

なんて考えてたら、この長さ。長いのか短いのか…


次話は和花音視点の予定。

早めに投稿します。(失踪しないようにするため)

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