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「よっしゃあー!初めて、初めてキスできたー!」

 夕方になり、女性と別れた青年は、今日あった出来事に、盛大な歓喜の声を上げた。

 嬉しさの余り、青年は周囲への警戒を完全に解いていた。

「ねえ、お兄ちゃん。」

 後ろから近づいてきていた、少女の存在に全く気づいていなかった。

「ん?どうかしま…。」

 そして、その存在に全く警戒していなかった。

 後ろから呼びかけられた青年はそう言いながら振り返った。その途中。

「ぐがぁっ…。」

 少女の右手に構えられた黒い塊を首に突きつけられた。それは青い線のような光で首を刺し、彼の意識を奪った。

「ねえ、お兄ちゃん。」

 少女はそう言った。

「遊ぼう?」


 もうろうとする意識の中、彼は目を覚ました。

「あっ、お兄ちゃん、やっと起きたー!」

 彼は何かを言おうとした。しかし、それは口の周りの違和感によって防がれる。

「んー!んんー!」

 青年は口の周りに粘着質の何かが着いていることに気づいた。

「あ、ごめんね。ガムテープ貼ってるから、息苦しいとは思うけど、我慢してね。」

 彼女はそう言いながら青年に近づいた。青年は身の危険を感じ、逃げようとするが、足はガムテープで両脚を固定され、腕は後ろ手のまま、金属の棒の周りに輪を作るように回され、こちらも固定されていた。

「んー!んーーー!」

 青年は必死で藻掻くが、何も起こらない。少女は抵抗できない様子の青年にさらに近づき、そして抱きついた。

「はー。ふー。」

 紅潮して、恍惚とした表情で彼女は顔を青年の身体に押しつけていた。

「お兄ちゃんの匂い、お兄ちゃんの体温、お兄ちゃんの感触…。」

 青年はその状況を何とかしようとするものの、ガムテープたちのせいで上手く身動きが取れない。

「あ、そうだ。」

 彼女は顔を離し、上半身を持ち上げると、彼の服の裾に手をかけた。

 そのまま(へそ)から頭の方向へと手を動かしていった。少し引っかかりつつも、腕が後ろに回っているため、普通にするよりかは突っかかりが少なく持ち上がった。

「ふうー。こっちの方がお兄ちゃんの体温がしっかり感じられるよぉ。」

 完全に蕩けた顔の少女はそう言いながら、再び抱きついていた。

 どのくらいの時間抱きついていたのだろうか。少なくともかなりの時間が過ぎた時、少女は顔を離して言った。

「さーて、そろそろ。」

 怪しい笑みを浮かべながら少女は言った。

「お兄ちゃんの唇、貰おうかな。お兄ちゃんの彼女(あのおんな)よりも長く…ね。」

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