最悪の出会い
記憶を消す...つまり忘れさせる力
そんな漫画みたいな力を俺は持っている。
俺の名前は海堂隼也
おそらく歳は18歳、自分の年齢なんてどうでもいい
誕生日は6月26日...祝ってもらった記憶はない。
親はいない...母親がいたらしいが覚えていない。
高校?...行く必要がない。
最初は行っていた記憶がある。
そして俺はこの力を昔から持っている。
忘れさせたい事を意識して、相手の体の一部に触れる
そうすればその記憶は相手から消える。
簡単な方法で記憶が消える。
何をしても許される世界
普通なら最高だろうが、体験してみるとつまらない。
やることがない。スリルがない。
この世界にも飽きた。
そんなことを思いながら俺は当たり前のように
商品を取りそのまま外に出た。
当然見ていた店員が止めるが、その記憶を消して
なかったことにする。
そして人通りのない道を通って帰ろうとしていた
ちょうどその時、
「その商品会計してないでしょ!」
という女の声が聞こえた。
あーあいるいるこういう正義感が強い奴
めんどくせぇなぁ〜うざったい
まぁいいや。さっさと終わらせよう。
そう思ってその女の腕を掴み
記憶を消した...はずだった
その女は記憶を消すために掴んでいた手を
何事もなかったかのようにふりほどき
「痛ったいわね!何すんのよ!!
その程度で女に手をあげるなんて最低ね!
盗んだ商品ちゃんと返して私に謝りなさい!」
とうるさい声で怒鳴りつける。
時間が足りなかったのか⁇
それとも掴む場所によって効果が違うのか?
そう思い。今度は女の頭を思いっきり掴んだ
充分な時間掴んだ。忘れさせたいことも意識した。
しかし女は俺の腹部を蹴りあげ
「だから‼︎痛いって言ってるでしょ⁉︎
とりあえず商品返す前に謝りなさいよ‼︎今すぐ‼︎」
とさっきよりうるさい声をあげて怒鳴りつける。
俺は状況が理解できなくてとっさに
「お前...なんで記憶が消えないんだよ⁉︎」
と声を荒らげて言ってしまった。
そして即座にハッとして顔を伏せる
だが完全にきかれてしまっていて
さらに記憶を消した現場を見られていたため
俺は自分の力を説明せざるをえなくなってしまった。
自分の力のことを説明し終わった後
その女が考えごとをしていた。
おそらく俺の利用方法だろう...
はぁ最悪だ...何をさせられるのだろうか?
まぁ可能性が高いのは銀行強盗とかだろう...
しかし女の口からは予想外の言葉が
「あんた私と付き合いなさい。」
それがあいつ...いや立花響との出会いだった。