命の恩人
目を開けるとそこには、この世のものとは思えないほど整った美貌がーーー
「うわぁぁぁ!?」
条件反射で後ろに退避、なにかに頭を勢いよくぶつけた。
「イッ⁉︎」
脊髄反射で痛みの原因から逃げるように頭を跳ね上げる。
唇にとても幸せな感触。
「………………。」
待て、何かがおかしい。
まじかに美しいご尊顔が、まるで時が止まったかのようにあって、唇には相変わらず天国のような感触がーーー
「…………⁉︎‼︎⁇!?」
ブワッと身体中から汗が吹き出る。
待て!落ち着け!こんな時こそ頭をクールにしてよく考えるんだ!
再度状況確認。
どうやらベットと思しき柔らかいものの上に寝かされているらしい俺。
俺の最後の記憶はスライム(仮)から必死に逃げたことだ。
察するに目の前のこの娘かその関係者が俺の命の恩人なのだろう。
で、この娘が目を覚まさない俺のことを心配そうに見守っているシュチュエーションだったのだろう。
ここからはこの娘の立場に立って考えてみよう。
俺が起きる。→突然奇声をあげてベットデッキに頭をぶつける。
……さぞ驚いたことだろう。
そして、うっかり振り向いたが最後、唐突に唇を奪われる、と。
……あれ?詰んでね?
あちらも状況を理解しだしたようだ。
証拠に頬がほんのり赤くなってきている。
判決の時が迫る。
アハムービーに使えそうな偏食具合だ。
陶器のように透き通った真っ白い白い肌は、今やリンゴ状態だ。
判決の時が来た。
100パーセント俺の過失なので、死刑以外なら甘んじて受け入れる覚悟を決める。
死刑はさすがにやめてほしい……。
さぁ、 示される判決はーーー
ドサッ
…………?
視界から女神もかくやというべき美貌が消えた。
目線を下に降ろす。
そこには頭からプシューーとか効果音出してそうな女神様が俺の腹の上で白目をむいていた。