勉強
机の上に分厚い本で山を作られてから一ヶ月半、俺はものすごく頑張った。
受験期の最終日直前数日間のことを思い出すレベルで頑張った。
あの頃を思い出すとか相当だと言わざるをえない。
なんせあの時はセンターが差し迫ってくる恐怖で夜は寝付けなず、テストに対する不安は勉強しないと解消されないと考えた俺は眠くなるまで勉強することに決めた。
しかし肝心の眠気が全く襲ってこない。
そのまま昼になっても目はさえ続け、勉強やめたら禁断症状がでるので、ずっと勉強したまんま。
それはそれで良くね?とか思うやつがいるかもしれないが全然良くない。
なぜなら体も頭もきちんと疲れているのだから。
冷静に考えれば効率が落ちるのは自明だろう。
俺もわかっていたし、体感してもいた。けど、麻薬と一緒だ。辞めたら辞めたで辛いんだ。
それで、結局ぶっ倒れるまでそれを続けることになった。
んでぶっ倒れた。そして起きたのがあの異世界初日である。
危うく試験寝過ごすところだった。
まぁ、結局こっちに来ちゃってる時点ですっぽかしたことに変わりはないんだけどね。
で、何が言いたいかというとこの一ヶ月半そんな日々を思い出すぐらい頑張ったということだ。
課題を課したのが女神様でものすごく期待してくださっているのがわかるからだ。
彼女の期待に背くわけにはいかない。
ゆえにぶっ倒れるまで頑張るしかない。
しかもそれで実際ぶっ倒れるて目覚めると、女神様が甲斐甲斐しく看病してくださっていたのは至極の喜び。一瞬で疲れが飛んだ。
それからはそれ以上女神様のお手を煩わせるわけにいかないので、ギリギリ倒れないぐらいで休むことにした。
女神様のためと思うと不安と戦うのも苦ではないのでなんとか休むことができたのは僥倖だった。
そんなこんなでこの一ヶ月半の間に本に書いてある内容はあらかたもあら網羅した。
基礎的なところは実際に試して使うことができた。今なら簡単な毒を直したり、ちょっとした病を治したりできる。
あと逆に驚かされたが骨折を治す魔法が普通にあったことだ。なんでも適切に処置しなくては歪な形にくっついてしまい、不便が残るので研究されたそうだ。
その反面麻酔のほうはなかった。恐らく神経というものが認識されていないのだろう。恐らく骨折治療は痛みとの戦いになるのだろうと思った。
今はせっかく上がってきていたステータスを下げないために始めた筋トレをやっている。
そうしていると俺の女神様専用体内時計が定刻を示した。
「コウイチ君、どこまでできましたか。」
女神様降☆臨☆
あ、ちなみに俺の呼称は君付けに変更された。彼女の中でどのような基準があるのかわからないが評価が上方修正したのではないかと期待している。
「あらかた終わりました。ただ……難しいのがいくつかできないでいます。」
「いくつか、ですか……あの中には上級のものも少なくなかったはずなのに……!やっぱりすごいです。」
おぉ!どうやら期待に応えることができたらしい。
輝かんばかりの笑顔を見せてくれる。
これで努力も報われるというものだ。
「……残ったものはあとどれくらいでできそうですか?」
「……明確なところはわかりませんが、このペースを保てればあと三ヶ月ほどでできるようにな流と思います。」
「うーん。そうですか。」
女神様は顎に指を当てて思案に耽る。
「それでは、先に攻撃魔法を仕上げたほうがいいですか……。えぇ、そうしましょう。身を守る力はあったほうがいいですからね!あ、一旦うちに戻りますよ?攻撃魔法の本は私が見繕って借りておきます。それと、今日から私の家で使用人として住んでもらおうと思っているのですがいいですか?」
「はい。喜んで!」
これは、自分の部下として認めてくれたと思っていいのか?いや、違うな。単にずっと客分じゃ俺の疎い分野での風聞が良くないんだろう。
名前:高良幸一
年齢:18
レベル:1
生命力:101
力:93
敏捷:99
体力:105
魔力:256
スキル:料理Lv1 裁縫Lv1 魔力感知Lv3 魔力制御Lv4 無属性魔法Lv2 水属性魔法Lv1 光属性魔法Lv1 風属性魔法Lv1 治癒魔法Lv4
その他:時空の神の加護