Rエンド
召喚者「岩人間」
一体の岩石で作られたゴーレムが立っていた。
大きさは人より一回り大きい程度であったが、ゴーレムとは人形程度の大きさの者でも大人を軽々と持ち上げてしまう魔物の一種である。
つまり、人より大きいサイズでも、人間にとってはとてつもない脅威となる。
そして、玉体を守るため近衛達は陣を組み、神官が周りを固め、宮廷魔術師が強大な威力の魔法を放つ。
ゴーレムと言っても岩製、魔法を弾くミスリルであれば打つ手がなかったろうが、岩であるため魔法は普通に届き、ゴーレムはその体を崩しあたりにゴロゴロと転がった。
王は冷や汗を拭い、近衛達もため息をついた。
すぐに宮廷魔術師たちが集まり、魔法陣の不備がないかどうかを調べ始め、残りはゴーレムの残骸を部屋の隅に集めて山を作った。
検査の結果、魔法陣に不備が無いことが分かったが、再度ゴーレムなどを呼んで無駄に危険を招くことも無いと判断され、離宮はそのまま封印されたのだった。
「まったく、いきなり魔法だなんて、物騒な世界だなあ。」
誰もいない離宮で、小さく声が響く。
声の主は、岩の山。
ゴーレムから発せられていた。
彼は、『救世主』であり、魔物であるゴーレムとは違ったのだった。
言ってしまえば、岩人間とでもいうのだろうか、彼は攻撃の意志も何もないまま、魔法でバラバラにされてしまった。
彼はこの世界についてぼやき続ける。
この国が亡び、いつか離宮が封印から解かれるその日まで。




