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18!  作者: ミズキカオル
6.七瀬壱斗と親友と
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 双子はお互いの考えていることが分かるだとか意思疎通ができるだとか、2人の間だけで使える魔術があるとか無いとか、そういう話はたくさん聞いてきた。

 でもそんなのは全くの嘘だ。

 双子なんてのはたまたま一緒に生まれてきただけで年の違う兄弟と変わりはなくて、いくら同じ遺伝子を持つ場合があるといっても所詮他人じゃないか。

 俺はあいつの考えてることなんかこれっぽっちも分かったことが無い。 


 むしろあいつの考えてることが分かる人がいるのなら、教えてくれと頭を下げたいくらいだ。




     ▼





 俺の双子の姉、柳胡桃(やなぎくるみ)は頭の中も纏っている雰囲気もふわふわとしていて、全くつかみどころの無い女だ。

 いつもぼーっとしているからかこれといった友達はいないし、口数が多いわけでもないから自分の意見を言うこともほとんど無くて、決して無表情というわけではないけど感情を表に出すことも無いから本当にいつも何を考えて生きているのか分からない。

 俺が胡桃の双子の弟だからという理由で、これまで同級生や先生や、父さんや母さんにまで、胡桃が何を考えているか分からないのかという質問を何度もされてきた。

 その度に俺は分からない、いくら双子だからといって他人の考えてることなんて分かるはずがないと答え続けた。


 俺たちの間に意思疎通の魔術やら何やらが無いのは確かな話だけど(向こうが一方的にこっちの考えてることが分かる可能性は無きにしも非ずだけど……)、俺たちには“普通”の人間には無い不思議な力が生まれつき備わっていた。

 この惑星には重力というモノがあって、その力によって人が地に足をつけたりしているのだけど、俺と胡桃はその力にとらわれることなく体をどこにでも置くことができる。

 簡単な例でいうと、“普通”の人間にはできないはずの空中散歩や、壁や天井に沿って歩くことが可能ということだ。

 昔親に連れてかれた病院では“無重力人間”だと言われ、これは魔術ではなく遺伝子の特別変異によるものだと診断された。

 俺たちの祖先や親戚に、今までこんな力を持って生れてきた人はいなかったらしい。

 父さんも母さんもあまりこの力のことをよく思っていないようだったし、俺も変に目立ったりするのは嫌だったから極力力を見せないように生きてきた。

 でも胡桃は違った。

 胡桃は全く周りの視線や意見を気にすることなく、力を使ってふわふわとどこかへ飛んでいってしまうことが度々あった。

 理由はもちろん分からない。

 胡桃が行方不明になる度に俺は彼女を探していて、そのせいか不本意ながら“おかしな少女の弟”という称号を与えられてしまった。

 本当に困った姉だ。


 困ったことといえば、胡桃にはもう1つ問題点がある。

 それは人の名前を覚えられないということだ。

 ただそれを聞いただけでは大したことがないように感じるかもしれないけど、彼女は弟の俺の名前さえも未だに覚えていないんだから驚きだ。

 最初は冗談か何かかと思って受け流していたけど、どうやら本気らしいということは共に過ごしているうちに嫌でも気付いた。

 それでも何故か自分で思い込んでいる愛称は覚えているようで、俺のことは常に“さぶ”と呼んでいる。

 本当は一文字もかぶってない“健太(けんた)”という名前なのに……。




 そんな胡桃が、何故か唯一一度聞いただけで覚えた名前があった。

 七瀬壱斗(ななせかずと)――約1ヶ月前の事故に巻き込まれた俺の親友の名前だ。

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