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真っ直ぐ自分の目を見つめているチェーレに、博士は優しい笑みを返す。
「そうだな。まずは魔術師がどんなものなのか、嬢ちゃんたちに教えてやらないといけなかったな。ここで立ち話するのもなんだし、よければ上の私の部屋で軽く話を聞いていかないか?」
「はいっ! ぜひ! ……あっルリちゃんとYOUくんはどうかな……?」
博士の言葉に食い気味で返事をしたチェーレだったが、ふと我に返って不安げに名を出した2人の方に視線を移す。
ルリ-フリルラは目が合うと少し困ったような表情を見せたが何も言わず、YOUは俺も一度くらいちゃんと話聞いといてもええからな、とあっさり答えた。
チェーレはそんな2人の反応を確認してからその場にいるもう1人の方を見る。
「ランスくんは魔術使えるから、博士さんのお話聞かなくても知ってることばっかりなのかな?」
「まあ、研究してないからそんな詳しいことは分からないけどね」
ランスはそう答えて一息つき、言葉を続ける。
「俺はこれから会いに行きたい人がいるし、今回魔術の話聞くのは遠慮しとくよ。俺が好きでやってることではあるけど、これも博士に頼まれてることの1つだしな」
「博士に頼まれてるていうことは……その相手も魔術の実験と関わりがあるってことなん?」
YOUが投げかけた疑問に対し、ランスが答える前に博士が答えた。
「関わりがないといえばきっと嘘になるだろうが、彼はまだ謎の多い人物なんだ。それに周りを警戒している節があって、まともに話をするのも容易ではない状態なんだ。だからまずは警戒心を解いてもらうという意味も込めて、比較的年の近いランスに話相手になってもらってるってわけだ。いずれお前たちにも会わせてやりたいが……急に知らないやつがぞろぞろと現れても困らせるだろうし、また機会があればよろしくしてやってほしい」
「そいつ、実験台にされるのが嫌で拒んでるんとちゃうん?」
やや茶化したような口調でそういうYOU。
それを聞いた博士はそれもあるかもしれんな、と少し笑ってから、
「あまり情報を漏らすのも考えものだが、彼はここに来る前は収容所にいたんだ。過去のこともあるし、実験のことを抜きにしても不安に思う点は少なくないだろうな」
「へえ、そりゃまたおっかないもん抱えてはるんやな……」
少し表情の引きつったYOUに対し、博士は穏やかな表情でそう怖がるもんでもないさと軽く返す。
ランスの表情もけろっとしており、事前に情報を聞いているということもあるだろうが、特別その相手の事情を気にしている様子は窺えなかった。




