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3人の会話の流れが読めないルリ-フリルラはよく分からないといったように眉をひそめていたが、隣に立っているチェーレは視えない相手とYOUとかえでの会話を楽しそうに眺めていた。
ルリ-フリルラからすれば、そんなチェーレも不可解なものの1つだった。
――人間ってよく分かんねえもんだな……。
その時、ふと弱い風が吹き、チェーレは視線を空へと向けた。
そして、そこにはあるはずのないモノが1つ。
「あれ、空に人が……?」
チェーレの言葉を聞いたその場にいた彼らは同じように空を見上げたが、そこには雲以外何も無かった。
「鳥かなんかと見間違えたんとちゃうん?」
「うーん、でも確かに女の子みたいに見えたんだけどなあ……」
不思議そうに首をかしげるチェーレに対し、YOUはあんま気にしんとき、と彼女の肩を軽くたたいた。
「そないな人間が実際おったとしても、きっとええもんちゃうで」
「それにしても、何でお前はこんなとこにいるんだ? 見慣れねえやつらも一緒だしよ」
かえでのその言葉を聞いて、YOUはハッとして答える。
「そうや! 俺たち今から博士の研究所に行くとこやってん! よかったらかえでと美沙子ちゃんもどや? 一緒に行かへん?」
「あんま出歩くなよな……。俺はいい。明日もテストだし」
「私も遠慮しときます。YOUさん以外の方には私のこと見えないみたいだし……かえでさんのお勉強姿見てるの好きですし」
「勝手に見てんじゃねーよ」
呆れたような調子のかえでと、少し申し訳なさそうな口調の美沙子。
YOUは分かった、と答えてから言葉を続ける。
「ほな、そろそろ行こか。博士が待ちわびすぎて、めっちゃすごい実験とか成功させてるかもしれへんしな!」
そう言って、かえでと美沙子に軽く手を振って歩き始めたYOU。
同じく歩き始めたルリ-フリルラに対し、チェーレはまだ立ち止まっていて、かえでの方をしっかりと見つめた。
「あの、私はチェーレっていうの。あの子はルリちゃんっていって……まだ私たち出会ってそんなに経ってはないけど、ルリちゃんもYOUくんも私にとっては大事なお友達なの。だから、そんなYOUくんのお友達に会えて嬉しかったよ」
「…………」
「また会えたらお話しようね。美沙子さんも。じゃあ、ばいばいっ」
かえでは何も答えなかったが、チェーレは満足したようで、先を歩いていた2人を小走りで追っていった。
かえではそんな彼女をぼんやりと目で追っていた。
「またYOUさんたちと会えるといいね」
と、美沙子。
「よくねえよ」
かえでは吐き捨てるようにそう言って、事故現場に供えられている薔薇の方に目をやる。
「つーか何やってんだよあいつは……」
かえでと美沙子がその場を去る頃、彼らの背後で空気がゆらりと動いた。
「美沙子さん、やっと見つけた……」




