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我がま魔女!  作者: 青丸 マコト
魔女っ娘、復活!
2/10

コンゴウは幼女と接近。

「うるさいわ!」


コンゴウは急に誰かに話しかけられて、驚いた。

しかしそれどころではない。

体が燃えているのだ。

のたうちまわっていたが、何だかおかしい。

熱くない。


コンゴウがふと目を開けてみると、炎は消えていた。

体も燃えていた痕跡は無かった。

なんだったのか、今の炎は?


すぐに顔をあげて周りを見渡すと、目の前に先ほどの幼女が立っていた。

「おお、起きてたか。よかったよかった。」

やっぱりただ眠ってただけだったかと、コンゴウは安心した。


「何が良かったんじゃ。人が気持ちよく眠っておったのに。ふわぁ~。」

幼女はとても不機嫌そうで、眠そうだった。


「あ、いやー、その、それは悪かった。実はお兄さん、道に迷ってしまってね。そしたらこんなとこで女の子が寝てるから、ちょっと心配になっちゃってね。」

コンゴウの見た目は体格は大柄で、顔もごつかった。

今まで多くの子供に泣かれてきた実績があった為、なるべく優しげに話しかけてみた。


「ほう、道に迷ってここに来たのか?ふむ…。」

幼女は随分偉そうな喋り方だ。

しかし子供が自分を怖がらなかったのが初めてだったので、コンゴウはむしろそっちが嬉しかった。


「そうそう、それで良かったら食い物を分けてもらえないかなと…。家は近いのか?それともお父さんかお母さんを待ってるのか?」

「なるほどのう、遭難者が偶然たどり着いたという訳か。しかしこの入口には封印がしてあったはずじゃがのう、おい、今は何年何じゃ?」

「何年?えーっと、確かジリタリア歴で言ったら、967年か?何歳なの?」


ジリタリア歴というのは、当時小国だったジリタリア国がアムシン大陸を支配して、ジリタリア帝国を作った時から数えた年暦である。

今はジリタリア帝国は再び分裂しているが、この大陸で生きる者には基本的な年の数え方だ。


「まことか!?なら500年は経っておるな…。まったくやってくれるわ。」

幼女は一人でブツブツ言っていたが、コンゴウの方をキッと睨みつけた。

「こら、お主!いつまでわらわの体を見るつもりじゃ!まったくまあ見とれるのも無理はないがな。さっさと召し物をよこさんか!」


「飯物?いや、だから俺も飯物が無いから腹が減っている訳で…。」

「見た目通りの低脳か、このゴリラは…。」

ゴリラは確か南の方に住む、でっかい猿の事だ。

コンゴウは見た事はなかったが、絵本なんかで読んだ事はあったので悪口だという事は理解できた。


「召し物じゃ、着る物をよこさぬか!わらわの裸をいつまで眺めておるか。ありがたさで目がつぶれるぞ!」

「服の事か。ちょっと待ってくれ。これでいいか?」

コンゴウは自分の荷物が入っていたずた袋を差し出した。


「えー、ちょっと待っててな。今作るから。」

「おい、お主…。まさかそのこ汚い袋をわらわに着せるつもりじゃないじゃろうな!このゴリラ男が!お前の上着でよい!貸せ!」

幼女はコンゴウの上着を奪おうとしたが、触れた瞬間手放した。


「なんじゃ、湿ってるではないか!」

「ああ、雨降ってたからね。」

「ならばその袋だって濡れているじゃろうが!」

「大丈夫大丈夫、革だから中は濡れてないから。」


コンゴウが中身を取り出すと、中には竹でできた水筒と、木で出来た箱が出てきた。

コンゴウは箱と水筒懐に入れた。


「ほらな。濡れてないだろ?」

コンゴウは袋を広げて幼女に見せた・

「ふん、濡れてなくともそんな物、体に触れさせたくないわ。」


しかしコンゴウは意に介さず、袋の四隅を手で破いた。

コンゴウの握力は皮の袋を素手で軽々と破れるどころか、自然の青丈すら握りつぶすほど強靭だった。


「お前は本物の低脳か!?こんなものをわらわに着せる気か!」

「裸よりはましだろ。ほれ、ちょうどいい大きさだしさ。」

「いや、ありえないじゃろ…。ゴホッゴホッ!なんじゃ、その臭いは!?」

「えっ、何か匂いするか?あ、この前魚を取ってそのまま入れてたから、その匂いだな。」


「お主…、もうよいわ。出て行け。」

幼女は呆れ顔で奥の祭壇の方に向かい、再びコロンと横になった。


「いや、何があったのか知らねえが、女の子をこんなとこに置いとく訳にいかんだろ。食い物も無いし、このままじゃ死んじまうぞ。」

しかし幼女は背を向けたまま寝転んでいた。

「うるさいわ、さっさといね。」

「そういう訳にはいかねえよ。親とけんかしたのかもしれんが、帰ってやらないとな。心配してるぞ。」

「消えろ。」

「いいからさっさとここから出るぞ。」

コンゴウが女の子の体に手を伸ばそうとしたとき、異様な熱を感じた。


「失せろ!」

その途端コンゴウの腕が再び燃え上がった。

「うおっ!また!?」


しかし二度目だったので、今度はコンゴウも冷静だった。

すぐさま外に飛び出して雨で火を消そうとした。

しかし雨にあたっても火が消える気配がしなかった。

「えっ!?なんでなんで!!」


また体中に火が燃え広がっていった。

そのままコンゴウは体中が炭になって、その場に倒れた。

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