ハンター(千文字お題小説)
お借りしたお題は「「デザート」をテーマに物語を書く。主人公は男性一人称。1000~20000文字 」です。
私はハンター。毎日のように獲物を仕留め、それを料理している。
腕には自信があるのだが、何日も獲物を仕留められない事がある。
そういう時は、簡単に手に入れられるデザートだけで我慢する。
だが、それでは満たされない。
確かにデザートも魅力的なのだが、空腹を満たすだけの量を手に入れるとなると、メインの獲物以上に骨が折れるのだ。
今日はいつも行っている場所ではなく、別の狩場に行く事にした。
目先を変えれば、獲物も仕留められるという実に短絡的な考え方だ。
狩猟仲間は言う。
「今はもっと簡単に食材が手に入れられる世の中なのだから、それ程苦労して狩りをする必要はないだろう」
確かにそうなのかも知れない。精肉店に行けば、すでに加工されたものが手に入る。
それで満足している連中も多くなったのも事実だ。
しかし、私にはプライドがあるのだ。そこまで落ちたくない。
腕が衰えて獲物を仕留められなくなったとは思われたくはない。
だから、安易な妥協はしたくなかった。そして何より、その手のものは美味いと思わない。
仕留めて、保存庫に吊るして、食べ頃になるまで待ち、自分の手で調理するのが至高の一時なのだ。
私の短絡的と思われた目論見は思った以上に当たりだった。
いままで手に入りにくかった獲物も仕留められた。
やはり狩場の問題だったようだ。
仲間にも教えてあげよう。それくらい獲物はたくさんいるのだ。
そして同時にデザートも大量に手に入れる事ができた。
一挙両得だった。今までで一番たくさん獲物が獲れた日だと思う。
私は獲物を車に積み込み、高揚する気持ちを抑制しながら家路に着いた。
家に着いた。
今回は、メインの獲物もたくさん狩れたが、デザートも質の良いものが手に入った。
むしろ、そちらの方に気持ちが向いている。
いつもならメイン中心で、デザートなど添え物程度にしか考えていなかったのだが、その考えが間違っていた事に気づいた。
そうは思いながらも、久しぶりに満足のいく獲物を手に入れられたので、調理にも力が入った。
肉質が良いので、熟成させずに刺身で食べてみようと思ったのだ。
普段使うのとは違う包丁を獲物に突き立て、解体する。
切れ味のいい高級な包丁なので、労せずして盛り合わせができた。
次はデザートだ。どれにしようか?
潤いがなくならないうちにいただこうか。
刺身以上に鮮度が命だからな。
私はサクランボのような唇を切り取って口に運んだ。
デザートはOLより断然女子高生だな。
申し訳ありませんでした。