会議に出席
早急に来いと言われても、シオンにとっては初めて会う相手であり行ったこともない場所である。
戸惑っていると側に控えていた家来が言った。
「御所様、いよいよですぞ。織田との戦に備えて大御所様はご相談があるのでしょう」
シオンはキタバタケのジェネラルである大河内御所なのだ。呼び出されたのは軍事会議を開くためということか。
「で、でも戦をするなんて自信がないのだけど……」
「魔法の達人の御所様が何をおっしゃいます!
さあ、多気に行きましょう! 某は今から武者震いがしております!」
こうしてやる気満々な家臣たちと共にシオンは多気へと向かった。
◇◇◇
山中の街道を行きたどり着いた多気。
霧に包まれた谷中であり、天を衝くようにトモノリの城はそびえたっていた。
大御所トモノリは麓の館に居るらしく、シオンたちはそこを訪ねた。小者に出迎えられ、広間に通された。
「大河内! 待っておったぞ!」
広間の奥に座っているスキンヘッドの男はシオンを見ると満面の笑みで歓迎した。この男が大御所トモノリなのだろう。
広間にはすでにキタバタケの多くの重臣たちがそろっており、シオンは遅れて到着してしまったようだ。皆の視線がシオンに集まる。とたんにシオンは脇汗をかく。
(自分は本当はオカワチ御所ではないのだが。上手く誤魔化せるだろうか……)