オダが攻めてくる
オダが伊勢国を狙っているとは……?
オダとは何者なのか。とりあえず、ゴショサマに仕えている家来に尋ねてみた。
「尾張の織田殿です。前々から北の方で小競り合いをしていますが、まあ気にすることはないでしょう」
そう言うのは家来の一人、ホシアイサエモンノスケだ。
「雲出川で食い止めて、追い返せばよいのです」
「……その、オダという敵は川の向こうからやって来るのか?」
「ええ、雲出川より北はオダの息がかかっている奴らがおりまして……情けないことに木造御所様は織田に寝返り我等とは険悪に……」
ホシアイサエモンノスケの説明によると、コツクリ御所はキタバタケの分家。雲出川の北岸に領地があり、コツクリ御所は北畠本家の大御所様の実弟であるという。
大御所様は「トモノリ」、弟のコツクリ御所は「トモマサ」。トモマサは幼い頃、コツクリに養子に行ったのだ。
そして、シオンの魂が入り込んだこの体の本来の主は「オカワチ御所」。大御所様の従兄弟なのだ。オカワチ御所はキタバタケ一門のジェネラルとしてオカワチの城を任されている。
◇◇◇
大御所トモノリからの使者がやって来た。
「早急に多気に来るように」
シオンはトモノリの城に呼び出されてしまった。