表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

一之太刀

白い髪で小柄な男がいた。ツカハラ先生だ。


「もう何も教えて差し上げるものはございません。この卜伝は伊勢を去ります」


「?」


「最後に、貴殿に一太刀を伝授しようと本日は参りました」


「ヒトツノタチ?」


なんだかよくわからない。それはもしかして、魔法のことか?

ツカハラ先生は大魔法使いで、ゴショサマはその弟子なのだろうか。


「そのヒトツノタチを自分のものにできたならば、何でも可能になるのでしょうか?」


なんかすごそうな魔法を習得したら祖国に帰れるかもしれない。


「それは貴方様のお心がけしだいでございます」


ツカハラ先生の言葉にシオンはハッとする。魔法を習い始めた頃に師匠に言われた言葉と同じだったからだ。魔法はあらゆる事を可能にする。しかし、自分の気持ちによっては何もできなくなるのだ。


「ツカハラ先生、ぜひ、伝授してください。ヒトツノタチを」


「ええ。では、私と勝負をしましょう」


シオンはおのれの魔法を試してみることにした。伊勢国で通用するのかわからないが、やるしかない。


「ヨンケ、レマト、ヨンケ、レマト……」


シオンはツカハラの目を見つめながら呪文を唱える。ツカハラもそれに応えるかのように瞳を微動だにしない。視線と視線が衝突しお互い身動きができないような状況になっている。


「……うっ」


先に苦悶の声をもらしたのはツカハラであった。その機をのがさないようにシオンはさらに呪文を唱えつづける。


「ヨンケ、レマト、ヨンケ、レマト」


そこからツカハラが崩れ落ちるまで早かった。


「……お見事です。貴殿はすでに一太刀を体得しておられた……」


「???」


わけがわからないが、シオンの勝ちということらしい。




こうしてツカハラ先生は伊勢を去ることになったのだが、出立の直前、シオンに意味深なあることを告げていった。


「オダが伊勢を狙っています。ゆめゆめ兵をおろそかになさいませぬよう…」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ