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宝物

高雲の弟子が恭しく運んできた、箱。絹の布で包まれている。


「当寺の初代が天照大御神から授かったものと伝わります。織田の手に渡るのは何としても避けねばなりません。戦が終わるまでに隠しておきたいのです。御所様、お力添えをいただけないでしょうか」


「えっと…アマテラスオオミカミ……というと、この国の神さまから貰った宝物、てことですよね……??」


その神はこの世界において最高神とされている。伊勢国から峠をこえた都にいる皇帝はその子孫だという。

シオンはこの国ではなるべく平穏にやり過ごしたいために、常日頃から「周りの人が大事にしている神様は、自分も周りに合わせて大事にしとこっ」と心がけている。

しかし、神から物体をもらうなどあり得るのか?

別世界から来たシオンにとっては俄には信じがたい。シオンの国にも「神」は在る。しかし、姿を見たこともなければ声を聞いたこともない。古い絵に描かれたものはあくまで想像の産物だ。「神」は本当にいるのだろうか。七十年ほど前、とある魔法使いが召喚術で「神」を呼び出すことを試みたが、何も現れなかったという。

ともあれ、(シオンが内心どう思おうが)目の前の箱は守らなければならないものであることに変わりない。


「私のお城で預かってもいいけど、うーん……。一応がんばって結界を守るけど、いざとなったら逃げるつもりだし……」


万が一結界が破れ敵の侵入をゆるしてしまったら、この宝物を失ってしまう可能性があるし、それに逃げるときは身軽な方がいい。

シオンがゴニョゴニョとイエスともノーともつかないことを言っていると、後ろに控えていたホシアイサエモンノスケが口をはさんだ。


「それでしたら、山田の御師に預かってもらうのはいかがでしょう?」


「ヤマダノオンシ?」


「伊勢神宮の神主ですよ。」


伊勢神宮は天照大御神が祀られているところ。この箱を授けた神のいる宗教施設ではないか。そこのプリーストか。

「織田が宮川より東に攻め込むことはめったにないでしょうし、御師に預けるのがよろしいかと」

「ミヤガワより東?」

サエモンノスケが言うには、伊勢神宮がある宮川の向こう側を穢すようなことがあれば皇帝が激怒するから織田もびびって攻めないだろうと。なるほど。それは預け先にちょうどいい。


「御所様の知り合いに頼りになりそうな御師はいませんか?」

「いい提案だ。しかし、私は私の交友関係をよく知らないのだ。サエモンノスケ、君の知り合いにはいないの?」


「何人かおります」


というわけで、サエモンノスケの知り合いの御師に預けることになった。

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