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魔法陣をつくろう

 魔王とゴブリンからこの国を、そして己を守るため、強力な魔法陣をつくらねばならない。

 そのためには急いで各城の下見をしなければならない。まずは現在地の大淀城から一番近い城、細頸城に行こう。細頸城に入っているのはヒオキという大将。ヒオキは筋骨隆々の男でかなりの強者だと聞く。


(しっかり細頸城の火を守って魔法陣を維持してもらわなきゃ。ヒオキは有能な男らしいからそこは心強いな。)


 シオンはさっそくサエモンノスケその他家来を連れて細頸城をアポ無し訪問をした。

 ヒオキは急ピッチで城を改修しているところで、現場で忙しなく指示を出しながら働いていた。上半身裸で汗をかき、下の者たちに交ざるその姿は眩しく映る。


「これはこれは大河内様! このようなお見苦しいところで……」


シオンたちに気づいたヒオキがあわてた様子で衣服を整え出迎える。


「いや、いいんです! 前触れもなく突然やって来たのは私なのだから」


精悍な顔つき。たくましい身体。これはできる男だ——。

シオンはヒオキを一目見て信頼した。


(この人がいれば、細頸城は大丈夫だ!)


「ヒオキ殿。今は改修中だけど、城の完成予定図とかありますか? ちょっと、魔法陣のための焚火の場所を検討したくて」



「まほうじん……?」


「ああ、ええっと、〝おまじない〟だよ。戦に勝つために」


「なるほど」


完成予定図を見せてもらう。細頸城は平城で、旅人が往来する街道沿いにあり、しかも港に近い。大淀城と同じく陸と海の守りだろう。数年前に具教の命によって築城されたらしいが、使うことなくそのまま放置されていたようだ。そして此度の織田の脅威に備えて急遽ヒオキが城主となり、改修に着手した。ヒオキは濠を二重にし、海側の土塁を伸張するつもりらしい。さらには、物見櫓も設置するという。


「小高い丘になっているところに物見を置く手筈にございます。海にも街道にも目を光らせましょう」


「その小高い丘というのは、この図の真ん中のあたりの……?」


「さようでございます」




 実際に小高い丘へ案内してもらった。数年前、ここは具教によって平らな台地にされている。


(魔法陣のための焚火の場所にぴったりだな。物見櫓の近くで焚いて、火が絶えないように見ててもらおう)


「ここに〝おまじない〟のための火を焚かせてください」


シオンはヒオキに頼んで篝火を用意してもらった。


そして呪文を唱える。


「ゲセフ、ヲウュニンシ、ノキテ」


火はボウっと音を立て、ほんの一瞬、シオンに応えるかのように膨らんだ。


 これで、ひとつめの火は完了。残るは四ヶ所だ。シオンはヒオキに礼を言うと次の目的地へと出発した。

 最後に、ヒオキにこう言っておいた。


「昼も夜も火を絶やさないようにしてください。もし万が一、絶やしてしまったら急いで私に連絡をお願いします」


 超有能そうなヒオキだからきっと大丈夫。ヒオキは細頸城の火を守るだろう。

 










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