プロローグ
一応、新作です。
次の更新はかなり先になるかも知れませんが、落ち着いたら連載しようかな?
と思っています。
よろしければ感想等お聞かせください。
〜魔王ベルザック・ルド・イビル居城、玉座の間〜
「なんで…なんでなんだよっ!?俺たち仲間じゃなかったのか!?答えろよっ!!ミーっ!!」
魔王の死体が横たわる中、勇者カインは声を荒げる。
まあ、それも当然だ。
勇者パーティで一致団結して魔王を倒すという茶番を繰り広げたあとに、俺が仲間3人の首を刎ねたからな?
「ミー?昔飼ってた猫の名前から適当につけたその名を俺の本名だと思ってる時点でお前は俺の仲間じゃねーよ?」
俺の言葉を待たずにカインの剣の嵐が飛んでくる…
カインの剣はこの世界最高峰といえる、それこそ人類最強の勇者に相応しいものだが、俺にとっては赤子も同然だ。
俺はカインの剣を指先で止める。
「なっ!?お前本当にミーなのかっ!?今までそんな力を隠してたのかよっ!?ガキの頃からずっと!!」
さすがのカインもそのあまりの出来事に驚愕の声をあげる…
まあ、俺がその気になればそこでくたばってる魔王なんざ、2秒あれば探し出すのも含めて始末できるしな?
「カイン?お前は勘違いしてる。逆に聞く。俺は誰だ?」
「決まってるだろっ!!ミー・オーレンっ!!五大属性を全て操る世界最高の賢者で俺のガキの頃からの幼なじみだろうがっ!!」
指先VS剣…
バカがみてもどっちが勝つかはわかるだろうに、押してるのは俺の指先の方だ。
まあ、それも俺がまだこいつと会話をする意思が僅かに残ってるから成り立っているだけだが…
「ガキの頃からの幼なじみか…そんなヤツいたか?いや、いたんだろーな。けどそんな連中とっくに死んじまっただろうよ?たくっ…愚痴りてえのはこっちだよ…勇者だ?魔王だ?そんなRPG昔は好きだったけど、今は吐き気がするほど大嫌いだわ…何が悲しくて同じようなRPGを50億年以上も繰り返さなきゃなんねーんだよ?おいっ!!一回も姿を現さねーがいるんだろ?この世界の神とやらよ?いい加減日本に帰せよっ!!早くしねーと大事な勇者様…いや、この惑星ごと吹き飛ばすぞゴラァ!?」
急に豹変した俺にカインは戸惑いだす。
何を言っているのか理解できないという顔だ。
理解してもらえるなんて思っていない。
剣と魔法の世界…
そんな異世界転移や転生は誰もが一度は憧れると思う。
かつて俺はもう顔も遠く霞んでいるが、クラスメイト達と共にこの異世界に転移した。
はじめは何もわからずに、ただがむしゃらに生き残るように努力した。
クラスメイト達は転移した時にみんなそれぞれちょっとした能力を与えられていたが、俺の能力は下の方から数えた方が早いゴミみたいな力だった。
いや、ゴミだな?
今が何時かわかる能力なんてよ?
「ミーっ!!お前が何を抱えてるのかは知らないっ!!だが、俺達がいっしょに育った17年は決して偽りじゃ…」
「黙れ」
バキンッ!!
力を込めすぎたようだ。
この世界最強の聖剣が俺の1%にも満たない力でへし折れた。
ここまでくると笑えるな…
こんな力があっても日本に帰ることすらできねーんだから…
時間がわかる能力…
その力の意味に気づいたのはこの世界に転移して10年もたった時だった。
ようやく仲間の助けになると喜んだあの日…
それがそもそもの失敗だった。
時間魔法に成長して歳をとることがなくなった俺はさらにそれを時空魔法にまで昇華させた。
別次元に繋がる結界…
時間魔法により年齢や全ての時間を自由に操れる能力…
全ての物理法則を嘲笑う戦闘能力…
空間を支配することで、万物を支配する…神への冒涜かと思うような絶大な能力…
まあ、実際問題冒涜したくもなるんだが、とにかく…
自殺でもしない限り事実上の完全無欠の不老不死…
それが俺だ。