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56話 結果

「.....急げー!お前が最後だぞー!」


必死に森の中を走り抜けてきた私の耳にフレッドさんの声が届いた。

間に合わなかったかと心の中で反省していると、フレッドが唐突に蔦をカバンから取り出した。

それを見たラウンドが頷いて蔦の端を持ち、即席のゴールテープのようなものが完成する。


「我が元にたどり着きこの栄光を手にせよです!」


「海月さんあと少し頑張ってくださいー」


ラウンドとクウの応援を聞いた私は速度を上げ、一気にゴールテープへと飛び込んだ。

次の瞬間、全く緩む気配がないゴールテープが私の体を押し返す。

私はもちろんそんなことを想定しているはずもなく、何が起きたかもわからないまま地面に倒れ込んだ。


「.....フレッドさん?ラウンド?」


クウの声を聞きながら立ち上がると、そこにはやってしまったという顔で固まっているフレッドさんとラウンド、そしてうっすらと笑みを浮かべるクウがいた。


「いや、すまん!このとおりだ!」


「我もまさかフレッドさんが手を離さないとは思っても.....すいませんでした」


2人はなにかを察したのか、直ぐに謝ってくれた。

まあ、悪気はなかったみたいだし許してあげようかな。


「うん、わかった。それじゃあ、装備の修復代は2人でお願いね」


にっこり笑ってそう告げると、2人はお互いを見つめた後再びこっちを見て言った。


「「はい.....」」


「それじゃあこの話終わり!結果発表の時間だね!」


まあ私が最下位だろうけど、ゲームは楽しくやらないとね。

切り替え大事!


「我らは28匹のトビウオを下し、28個の勲章を手にしました!貴様らはどうですか?」


ふむふむ、クウとラウンドが28個ね。

いや、切り替え早いね?

いいんだけどね?


「そっちも28個か!?勝ったと思ったんだがなぁ……」


フレッドさんも28個、仲良いねー

そして切り替え.....まあいいや。

私の番だね。


「私は9個。これはさっき転んで正解だったみたい」


「.....悪かったな。にしても、海月は短剣だから空飛んでるやつとは相性悪かったか。次やる時は二対二にするか?」


自虐ネタは封印かな?

後、トビウオを狩れなかった理由も他のことしてたからだから、私がトビウオを狩れないってことじゃないよ!


「今回はちょっと寄り道してただけだから大丈夫。次やる時は負けないよ!」


「ふっ、我らの禁書に負けという文字はないですよ!いつでもかかってくるがよいでしょう!」


うーん、なんか違うね。


「ラウンドはほとんど倒せていませんから、もっと頑張ってくださいね」


「我は暗殺騎士であるから暗殺と守護が仕事なので.....」


あ、刺さった。

クウって容赦ないよね.....


「なんだ情けねえな。剣の使い方教えてやろうか?」


肩を落とすラウンドにフレッドがそう声をかける。

ラウンドはそれを見た聞いて顔を上げるとフレッドの目を見つめながら言った。


「我に剣を教える?そんなことを我に言うとはお願いします!」


驚く程の変わり身の速さ.....


「んじゃあ行くか!またやる時は呼んでくれよな!」


「よろしくお願いします、師匠!」


そう言ってフレッドとラウンドは街へと走っていった。

2人に手を振りながら見送っていると、ふと心にある感情が湧き上がってきた。


「あれ、ラウンドが普通?」


「本当にいつもはまともなんですけど、ゲームだと豹変、というか中途半端に厨二病が出てくるんですよね」


そういえば前にも聞いた気がするね。

.....あ、あの2人装備の修理代から逃げるために剣の訓練とか言ったんじゃない?

うん、次会った時にきっちり請求しよう。


「なるほど.....頑張ってね」


「はい、頑張ります?」


自分でも何を話しているかわからなくなってきたので話を切り上げ、新しい話題に移る。


「さて、これからどうする?フレッドさんとラウンドは行っちゃったけど」


「そうですね、この前貰ったアイテムを使って錬金術に挑戦してみることにします」


「良かったらどんなアイテムになったか教えてね」


「はい、すごいアイテムを作って驚かせられるよう頑張ります!」


「それじゃあ、またね。今度はパーティープレイできるような場所で!」


「はい、またー」


こう言ってクウも街へと歩いていった。

さて、私はどうしようかな。

森に戻ってトビウオを借り直してもいいし、他の場所に行くのもいいかも.....

あ、まだ交換できるアイテムの確認もしてなかったね。

うーん、どうしようかなー


「そうだ、アイちゃんはどう思う?」


しかし、いつまでたっても返事は返ってこない。

またどこかを飛び回っているのかと辺りを見渡すが、アイちゃんの姿が視界に移ることはなかった。


「.....まさか森に置いて来ちゃった?」


ここに来るまでにだいぶ急いでいたから、森の中でアイちゃんが何かに気を取られていたら私を見失ってしまうこともあるかもしれない。

そしてアイちゃんが1人でいるならモンスターと間違われて攻撃されるかもしれない。

ここまで考えて私は体を翻し、森の中へと駆け込んでいった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 一気に全部読ませて頂きました とても良い作品で徹夜して読んでしまいました 私のわがままですが不定期でも更新して貰えるととても嬉しいです でも無理はせずに、個人小説は書く側が楽しんでこそです
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