53話 勝負
「パーティー登録も終わりましたし、早速モンスターを倒しに行きませんか?」
無事にパーティー登録を済ませ、冒険者ギルドを出たところでクウがそう言った。
「私も行きたいけど、その前に質問!イベントの内容ってどんな感じ?まだ詳細確認してなくて.....」
そんな私の質問に答えたのは意外なことにフレッドさんだった。
「そっちのギルドマスターが街の周りに普段はいないモンスターを発生させてるから、そいつを倒してアイテムを集める、だったはずだ」
フレッドがそう言い終わり、今度はラウンドが口を開く。
「我は呪いのせいで出来ないですが、神の力を持ってイベントアイテムから宝具を錬成することでもポイントが貰えるみたいです」
.....ギルドマスターさーん?
聖水の池といい、次元が違いすぎない?
まあ、それは置いておいて。
モンスターを倒すのと、イベントアイテムを使ったアイテム作成でポイントが貰える、と。
「2人ともありがと。それじゃあ、どこに行く?」
「私は森ですかね。草原と墓地は人が多くて、沼は.....あまり行きたくないです」
「我はどこでもいいです」
「俺は沼以外だな」
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オレハヌマガイイトオモウ
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やっぱり沼は不人気だね。
その気持ちはすごいわかるけど、いつもお世話になってるから少し複雑.....
沼のアイテム優秀だと思うんだけどね。
あ、アイちゃんは沼の前科があるから却下で。
何はともあれ、森に行くってことでいいよね?
「それじゃあ、森に行きますか!」
私がこう言うと、全員が口を揃えて言った。
「よっしゃ!」「頑張りましょう!」「風が我を呼んでいる.....」 [エー]
うーん、タイミングだけはバッチリなんだけどね.....
「それにしても、森でパーティープレイって難しそうだけど、どうする?」
しばらく歩き、私はふと浮かんできた疑問を口にする。
森は障害物も多く、どう考えてもパーティープレイには向いていない。
「フレンドリーファイヤもありますし、さすがに4人は厳しいですよね……」
その言葉で生まれた10秒程の沈黙の後、フレッドが口を開く。
「それじゃあ、全員別れて討伐数を稼ぐってのはどうだ?」
「楽しそうだね!私は賛成!」
「私はさすがに1人だと厳しいので、誰か一緒に来て欲しいです」
「ふっ.....我が貴方を守護してやろうではないですか!」
「ありがとう、ラウンド」
「1時間後に森の前に集合でいいよな?んじゃ、スタート!」
フレッドがそう言うと同時に森へと走り始める。
「あ、ずるい!」
「はっはっはっ!ずる賢いと言ってもらおう!あ、最下位は全員分の武器の修繕代出せよ!」
フレッドはチラリとこちらを見てそう言うと、一目散に森へと駆けていった。
「これは急がなくてはならなせんね!我は今甘味の誘惑を受け、金がないんですよ.....」
「だからそんなにラムネを買っていいのって聞いたのに.....」
クウとラウンドもそう言って森へと走り出した。
それにしても、ラウンドの金欠って間接的に私のせい?
やっぱりいくら食べても太らないお菓子の業は深い.....
じゃなくて、私もだいぶ金欠だから急がないと!
ソロで森に潜り続けた実力を見せる時が来たみたいだね!
「よーし、頑張ろう!」
そう言って森へと走り出した私は、1分程で森へと辿り着いた。
そしてさらにその数秒後、木の影から1匹のモンスターが飛び出してきた。
鋭い歯を口から覗かせてこちらを睨みつけ、羽をひろげて泳ぐように空を飛んでいるその姿。
そう、全ての原点とも言える姿を持っているそのモンスターは.....
トビウオだった。
「いやなんで森の中にトビウオ!?絶対モンスターの選択間違えてるでしょ!」
あ、魚類は1番最初の背骨を持った生き物らしいよ。
そんなことはどうでもいいって?
確かにまずはこのトビウオを倒さないと。
それじゃあ、メイスの性能テストと行きますか!
「キュイィィ!」
私がポーチからメイスを取り出して構えたところで、耳障りな音でトビウオが鳴いた。
すると、トビウオの周囲に水球が2つ出現するが、私は
「わざわざ待ってくれてありがとねっ!」
と言いながらトビウオを殴り上げた。
水球?
待っても何かできる訳じゃないから攻撃するしかないでしょ。
そんな考えが幸いしてか、水球は上方向へとレーザーのように伸びた後消滅した。
どうやら、トビウオの視線の方向にレーザーが発射されるようだった。
「それじゃあ、攻撃あるのみだね!変化!」
メイスを鉤爪型へと変化させ、ジャンプしてトビウオの口に鉤爪を引っ掛ける。
そして地面へと着地して、トビウオを地上へと引きずり落とす。
「釣れたっ!」
口から鉤爪部分が飛び出ている様子は、まるで釣り針に食いついた魚のようだった。
まあ、鉤爪刺したの私だけど。
「それじゃあ.....トドメ!」
メイスはトビウオの口に埋まっているので、ポーチから短剣を取り出して目玉に突き刺す。
1度指しただけでトビウオはバッチのようなものを残し、光の粒になって消えていった。
「さすがにアイテムは取れないかぁ.....まあ、そこまで出来たら本当に神様レベルだもんね」
そう言いながらバッチを拾い、私は森の奥へと足を動かしていった。




