46話 再会
聖水を取った次の日、私は未知への啓示に書かれた2つのアイテムを手に入れるためダンジョンを探すことにした。
向かった先はもちろん沼。
今度こそはあの蛙にリベンジする、そんな思いを胸に私は沼を探索していった。
「人も少なくなってるし、見つけやすくなってるはずなんだけど...アイちゃんダンジョンあった?」
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ミツカラナイ
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空を飛んでいるアイちゃんに聞いてみるが、返ってきたのはそんな答えだった。
「そっかー...」
アイテムボックスを作り終わったのか人の姿は見えないし、アイちゃんの力もあるのでかなり見つかりやすくなっているはずなのだが、なかなかダンジョンは見つからない。
そんな中、1人のプレイヤーがスライムを爆発させているのが見えた。
「あ、まだスライム素材を取ってる人がいるんだね。それにしてもあの人どこかで見たような...」
そのプレイヤーをどこかで見た記憶がある私は首を傾げ、しばらくして思い出した。
「あ、フレンドになろうって言ってくれた人!クウさんだよね?...あれ?まだスライム素材を採れてないってこと?」
クウさんに会ったのはかなり前だと思ったのだが、今までスライムの素材を手に入れなれなかったのだろうか。
クウさんはまたスライムを手に取ると爆発させ、肩を落としていた。
「あの...」
その姿を見て私は声をかける。
「あ、睡蓮の人ですよね。お久しぶりです」
どうやらクウさんも私のことを覚えていたようで、そんな返答が返ってきた。
「お久しぶりです。あの、素材集め手伝いましょうか?」
スライムの素材を取るのに苦戦しているようだったのでそう言うと、クウさんは花のような笑顔を浮かべた。
「本当ですか、ありがとうございます!私不器用なのでなかなか素材が採れなくて、偶に採れてもアイテムを作る時に失敗して無駄にしちゃうんです...」
クウさんはそう言いながら徐々に顔を暗くしていく。
「けど、アイテム作りは楽しいので!可愛いアイテムを作れるように頑張ってます!」
暗い気持ちを無くすためか、クウさんはそう言って笑ってみせる。
「何度もやれば上手くなりますよ!応援します!」
その言葉には少なからず共感するところがある私は、そう言ってクウさんを励ます。
「ありがとうございます。そういえば、アイテムは作れましたか?」
「あ、出来ました!フレンドのなり方を教えてくれませんか?」
私はそう言ってスマホを取り出す。
「わぁ、このケース可愛いですね!もしかしてあの睡蓮で作ったんですか?」
それを見たクウさんはそう言って目を輝かせる。
「この睡蓮いいですよね。アイテムと一緒に睡蓮を入れると模様がつくんですよ」
「そうなんですか、今度やってみますね!...すいません、話がずれてました。あの、名前を教えてくれませんか?」
クウさんはそ言って木の板を取り出す。
「海に月って書いて海月です」
「海月さんですね...見つかりました!」
クウさんがそう言った直後、スマホに新しいメッセージが表示される。
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クウ からフレンド申請が来ています。
承諾しますか?
Yes No
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もちろんYesを押すと、クウさんがフレンドになったというメッセージが表示された。
「クウさん、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。後、言葉はいつも通りで大丈夫です。何となく歳も近そうですし」
「そう?それじゃあよろしくね、クウ!」
クウがそう言うので言葉遣いをいつものものに変える。
何となく初対面の人とかだと丁寧になるよね。
「はい、よろしくお願いします」
「あれ、クウはそのままなの?気にしなくて大丈夫だよ?」
気になったのでそう聞くと、驚くべき答えが返ってくる。
「私は普段からこの口調なので」
「...どこのお嬢様?」
こんな丁寧な言葉を友達相手に使う人っているんだね。
「全然お嬢様ではないですよ。昔からゲームの中でこの口調にしていたので、変えると落ち着かないんですよね」
「なるほどねー。それじゃあ...スライム潰す?」
「潰しましょう...」
私達は話をやめると近くのスライムを手に取り爆発させる。
「...あははっ!」
「同時に爆発しましたね」
なんてことない事だが、それでも面白く感じられる。
「どっちが先に成功するか勝負しない?」
「負けませんよー」
そう言って次々にスライムを爆発させていると、肩をつつかれる。
振り向くと、そこではスライムの死体を持ったアイちゃんがいた。
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カッタ
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「アイちゃんに負けたっ!?」
まさかアイちゃんに負けるとは...
「わぁ、すごいアイテムですね!フレンド申請されました」
そんなアイちゃんを見たクウはそう言って目を輝かせる。
怖くないのかな?
今は慣れたけど、最初は怖かったよね...
「あ、この子はアイちゃん。ちょっと見た目は怖いけど可愛い子だよ。良かったら承認してあげて」
「もちろんですよー。アイちゃんさん、よろしくお願いします」
ちゃんさん...
偶に見るけどどうなんだろうね?
まあ、なんでもいっか。
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ヨロシク
コレアゲル
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アイちゃんはそう言ってスライムの死体をクウに手渡す。
ちなみに何故それが見えるのかと言うと、いつの間にかグループチャットが出来上がっていたからだ。
アイちゃん優秀!
「いいんですか?アイちゃんさんありがとうございます」
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イイッテコトヨ
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「あれ、アイちゃんがかっこよく見える...」
「確かにアイちゃんさんはかっこいいですね。あ、海月さん、これで私の用事は終わったので何か手伝えることとかあったら言ってください」
クウはスライムの死体を仕舞うとそう言う。
「それじゃあ、ダンジョンを探すのを手伝ってくれないかな?なかなか見つからなくて...」
「確かあっちにあったはずです」
そう言ってクウが指さした方向を鷹の目で見ると、確かに渦の光が見えた。
「あ、あった!それじゃあ、私はダンジョンに行くけど、クウはどうする?」
アイテムを作りたいかと思いそう聞いてみる。
「もちろん行くに決まってるじゃないですか。私は魔法使いなので少しは役に立てる...はずです」
「魔法使い!いいなぁー」
魔法使いと聞いてテンションが上がる。
クウは錬金術師だと思っていたが冒険者だったのだろうか?
「あまり期待はしないでくださいね?」
「わかった、期待してるね」
「海月さんは酷い人ですねー。アイちゃんさんもそう思いませんか?」
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オモウ
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「むむむ...」
クウとアイちゃんから集中砲火を受ける私を見て、笑いながらクウが言う。
「やっぱり人がいると楽しいですね」
「うん、そうだねー」
ギルド機能が出来たら作るのもいいなぁ...
そんなことを考えながら私達はダンジョンへと入っていった。




