44話 捜索
「ミルさん!もしかしたらあの神父を見つけられるかもしれないので、もう少しだけ手伝ってくれませんか!?」
アイちゃんの能力を見た私はミルさんにそう叫んでいた。
「わかりました。私は何をすればいいですか?」
「多分今から無防備になるので、一応見張りをお願いします!アイちゃん視界共有して上に飛んで!」
私がそう言うと、視界が斜め上からのものへと変化し、徐々に高度を上げていく。
「アイちゃんストップ!鷹の目!」
ここまで高く飛べば顔の判別など出来ないが、鷹の目が使えれば話が違ってくる。
そしてその賭けは無事に成功した。
視界共有をした状態でも鷹の目を使うことができたのだ。
「逃げるか隠れるか...隠れてるなら見つけるのは難しいけど、逃げてるなら...アイちゃんもう少し高度上げて!」
私はそう言って、教会から1番近い門への道を見る。
大通りなだけあって人通りはかなり多いが、あの神父はかなり目立つ服装をしていたので何とか見つけられないこともないはずだ。
そう考えて道を見ていると、視界に人をかき分けるように道を走る3人組の姿が映った。
そのうち2人は鎧を着て、もう1人は白いローブを着ている。
間違いない、あの神父達だ。
「見つけました!この通りを門に向かって進んでます!」
「わかりました。海月さんはそのまま神父を追ってください」
ミルさんがそう言うと、体が浮き上がる感覚があった。
おそらく私の体をミルさんが運んでいるのだろう。
...重くないよね?
「転移アイテムを使わないようなら捕まえられるはずです。森へ入られると厄介なので、少し急ぎますね」
ミルさんがそう言うと、体にかかる風が速くなる。
かなり速いように感じられるが人が多い道をどうやって走っているのだろうか。
そう思っていると、建物の上を駆け抜ける人影が見えた。
おそらくこれがミルさんだろう。
「このペースだと街の外に出られます!」
しかし、そこまでしても神父達に追いつくことは難しい。
ミルさんが言っていたが、森に入らられてしまえば上空からの追跡が出来なくなるので、取り逃してしまう可能性は高くなるだろう。
「わかりました...少し飛ぶので舌を噛まないように気をつけてください」
ミルさんはそれを聞いて少し考えた後そう言った。
すると次の瞬間体が浮遊感に包まれる。
一瞬視線を移すと、そこではミルさんが街を囲む壁を飛び越えていた。
「っ!」
声が出そうになるが、そんなことをしたら落下した時に舌を噛みそうなので必死に我慢する。
もちろんその間も神父を見張ることは忘れない。
そしてかなり長い跳躍の後、ミルさんはちょうど壁から出てきた神父達の前へと着地した。
「な、何故ここへ!?」
私達の姿を見た神父はそう叫ぶ。
「視界共有、鷹の目解除。うーん...神様の思し召しかな?」
「この3人は詐欺を行い、人を殺したという疑いがかかっています。拘束を!」
私が軽く神父を煽っている間、ミルさんは門番にそう指示を出す。
こ、これが大人...
「何をする!私がそんなことをすると思っているのか!」
「ちゃんと真偽の石を持ってくるから安心しな。嘘の通報なら通報した側から罰金も貰えるし美味しいだろ?」
私がくだらないことを考えているうちに、門番が素早く3人を拘束していた。
さすが門番!
「それじゃあ、今から真偽確認するからついてきてくれ」
門番はそう言うと3人を引っ張って壁の中へと入っていく。
それに続いて中に入ると、そこは至って普通の空間だった。
「早速始めるか。大まかな質問はこっちでするがそれだと言い逃れもあるかもしれないからな。細かいとこはそっちで聞いてくれな」
門番は棚に置いてあった水晶を机の上に置き、全員が座るとそう言った。
「んじゃまずは、お前が詐欺をやったってのは本当か?」
「私は詐欺なんてしませんよ」
神父は門番の問に対してそう言うが、水晶が反応する様子はない。
「それじゃあ、お前が人を殺したってのはどうだ?」
「まさか、全て言いがかりですよ」
今度の問でも水晶は反応しなかった。
「なるほどな。後は頼むぜ嬢ちゃん方」
門番はそう言って、手をヒラヒラと振った。
「それじゃあ...本当に私が見た机に鑑定料金貨1枚と書いていましたか?」
「ええもちろん...」
神父は今度もそれを否定しようとしたが、そこで水晶が光る。
「私に鑑定料金貨1枚だと言って払うことを強要しましたよね?」
「いいえそんなことは...」
またも水晶が光った。
「次、貴方はこの2人に命令して私を殺させましたよね?」
「.....」
神父は否定しても水晶に引っかかると思ったのか口をつぐむ。
「話さないってことは肯定でいいですね?あ、終わりです」
私はそう言って質問を終えた。
「よしわかった。なんにせよこいつは黒だな。何かあったらまた呼ぶからそんときは頼むぜ」
門番はそう言って私達を外まで送り出すと、門の中へと戻っていった。
「疲れたぁ...それにしても聖水ってどこで売ってるのかな...」
「聖水が欲しいんですか?それならいい場所を知っていますが、案内しましょうか?」
私の呟きにミルさんがそう言う。
「本当ですか!お願いします!」
その提案をありがたく受け、私達は街へと歩いていった。




