43話 覚醒
「どうやらこれは聖水ではなくただの水のようですが...まだ続けますか?」
私は鑑定結果を見て愕然とする神父と警備隊にそう告げる。
「ええい、そんなものは偽装ですよ偽装!」
しかし神父はまだ諦めるつもりがないようで、そう言って認めようとしない。
「そんな悪魔のようなアイテムを使って!貴方さては悪魔の使いですね!」
そう言われて私の上で飛んでいる例の物...いやアイちゃんを見ると、フレームから悪魔のような羽が生え、持ち手だった部分は尻尾へと変化している。
元は鷹だったはずなんだけど...
まあ、いっか。
「これは私が作ったアイテムで、悪魔とは全く関係ないですよ。そして、その話は聖水の事とは別問題ですよね?」
話を逸らされないためにそう釘を刺しておく。
もちろん逃がさないよ?
「...ではそのアイテムの鑑定結果が本当だと証明できるのですか!?貴方が偽装している可能性がありますよね!?」
ここで偽装してるって言いきれない時点で黒だとは思うんだけど。
そもそも、私が偽装してたとしても全然問題はないんだよね。
「それじゃあ、新しく人を呼びましょうか。偽装されているかどうかを見分けられるようなアイテムを持っている人を。あ、もちろんその人にも机の上にある文字を確認してもらいますよ」
そう、机の上の文字がない時点で終わってるんだよねこれ。
なんにせよ、第三者を呼べた時点で私の勝ち...
あれ、普通に誰かに声をかけるだけで良かった?
...確実性を取ったんだよ、うん。
「...少し中で話しませんか?」
神父が俯きながらそう言った。
安全を取るべきなら行かない方が良さそうだが、面白そうなので行くことにした。
「...わかりました」
私がそう言うと、神父と警備隊は教会の中へと入っていく。
それについていくと、入ってすぐの礼拝所のような空間を抜け、中庭のようなところに案内された。
「どれだけ払えばいいですか?」
中庭につくと神父は真っ先にそう言った。
「全財産ですかね」
私はそれに反射的に答える。
すると神父は顔を引きつらせ言った。
「...もう1回言っていただけますか?」
「全財産です。これ以上はびた一文たりとも負けません」
すると神父は更に怒りの表情を張り付かせる。
「...わかりました。殺ってください!」
その言葉に反応して警備隊の2人が動く。
「あ、そうですか。それじゃあ、覚悟してくださいね?」
私はそう言って神父を睨むと、抵抗せずに警備隊の剣を受け入れた。
片方は私の胸を貫き、もう片方は首を刈り取る。
もちろんどちらも即死だろう。
そんな中私は最後まで神父を睨み続け、その恐怖に染まった顔を視界に収め続けていた。
◆◆◆◆◆
「さて、いきますか」
直後、宿屋で生き返った私はとりあえず錬金術ギルドへと走る。
そして受付にいたミルさんに言う。
「すいません、まともな警備隊の人ってどこにいるかわかりますか?」
「えっと...何かあったんですか?」
「警備隊の人に殺されました」
そう言うとミルさんの表情が変化する。
「...案内してください。こう見えても戦闘には自信があるので」
「わかりました」
そう言って私はミルさんに状況を説明しながら教会へと向かう。
「なるほど、あの教会に手を出してしまいましたか」
「あの教会って何かあるんですか?」
「詐欺をしていたんですが、明らかすぎて被害者がいなかったので放置されていたんです。まさか人殺しまでするなんて...」
どうやら私は初の被害者になったようだった。
もしかして私って馬鹿?
いや、そんなことはないはず...
「一応教会へは向かいますが、逃げている可能性が高いでしょうね。何か証拠が残っていればいいんですが...」
そんなミルさんの予想は当たっていた。
私達が教会へと着いた時には、そこには一応椅子などの家具以外の売られていた聖水などの証拠になりそうなものが全てなくなっていた。
中庭に私の血痕でも残っていれば良かったのだが、プレイヤーだからか神父達が処理したのか血痕も死体も残っていなかった。
「...この手口は常習犯だと見るべきでしょうね。これでは他の街に注意喚起する程度しかできません」
「そうですか...ありがとうございました」
私がそう言うと、ミルさんは懐から何かを取り出した。
おそらく、他の街に連絡をしているのだろう。
それにしても、戦って人殺しになるのは嫌だから殺されけど、これなら戦っていた方が良かったかもね...
すごく時間を無駄にした...いや、アイちゃんが進化?したから良かったかな?
「アイちゃん、自分の鑑定ってできる?」
例の物から進化したアイちゃんの性能を確認していなかったのでそう言うと、アイちゃんは目を縦に動かし、鑑定結果を表示した。
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自立式鑑定眼 "アイちゃん" ☆
装備可能レベル:1以上
耐久力:300/300
鑑定(中)
偽装看破(小)
鑑定偽装(小)
自動修復(小)
視界共有
自我を得た鑑定眼が製作者と契約することで力を得た
姿。
製作者の狂気が感じられる。
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すごい成長してるね。
それにしてもさっき使ったのは看破なのか偽装なのか...
じゃなくて、もしかしたらあの神父を見つけられるんじゃない!?




