42話 口論
「あ、教会発見!」
あれからしばらく街をさまよった私は無事に教会へとたどり着いた。
また全財産神父がいるかと思ったが、嬉しいことに全財産神父は聖水を残してどこかへ行ってしまっていたので、商品の鑑定をするだけなら許されるだろうと聖水を鑑定してみることにして、ウエストポーチから例の物を取り出し、聖水に向ける。
例の物はいつもよりも時間をかけて聖水を眺めた後、鑑定結果を表示した。
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聖水
神の祝福がかかったありがた〜い水。
飲めば万病がやわらぎ、病気にかかりにくくなる。
適正販売価格は金貨10枚だが、神父の計らいにより半
額になっている。
注意 効果には個人差があります。
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「これは怪しいね。押し売りというか悪徳商法というか...とにかくこれ偽装されてない?」
私がそう言うと、例の物が頷くように目を縦に動かした後不規則に動き始める。
「...もう絶対ここで物を買わないようにしよう」
とりあえずその動きを肯定だと判断した私はそう呟く。
「なんてことを言うんですか!」
そんな声が聞こえたので顔をあげると、目の前に全財産神父が立っていた。
「営業妨害ですよ、営業妨害!」
...ええ?
こんな明らかな詐欺アイテムを売ってるのに?
私がそう考えていると、再び全財産神父が口を開く。
「貴方、さっき鑑定をしていましたよね?では鑑定料金の金貨1枚を払ってください」
うーん、やっぱり悪徳商法...
これは無視して立ち去ろう。
「どこへ行くんです?」
私がここから離れようと歩き出すと、悪徳神父が肩を掴んでそう言った。
「貴方がいないどこかへですかね」
私はそう言った後、肩の手を払って歩き去ろうとする。
しかし、悪徳神父は恐るべきスピードで私の前に立ち塞がり言った。
「お帰りになる前に金貨1枚を置いていってください。そうでないと私が貴方の悪評をあちこちに言い回りますよ?」
おそらくこのまま悪徳神父を振り払って逃げることは可能だろう。
しかし、それで悪評を広められるのは遠慮したい。
だが、金貨1枚なんて大金は持っていないし、払うつもりもない。
つまり残った選択肢は...反論である。
「嫌です。そもそも鑑定料金金貨1枚はどこに書いてあるんですか?そんな表記があるようには見えませんが」
「しっかり書いてありますよ?ここを見てください」
悪徳神父はそう言いながら聖水が置かれているテーブルの一角を指さす。
しかし、どう見てもそこには文字どころか傷の1つも無かった。
「何も見えませんけど」
何がしたいのかと思いながらそう言うと、悪徳神父が言う。
「まさかこの文字が見えないとでも言うんですか?」
はだかの王様か何かかな?
「見えませんよ?」
まあ、私には見えない文字で書かれてたとしても私に見えないのは事実だしね。
「では、警備隊を呼んで確かめてみましょう。そうすればどちらが正しいかがわかるでしょうから」
嫌な笑いを浮かべながら
嫌な予感がするなぁ...
これはあれでしょ?
警備隊がグルのパターン。
けど、ここで断ったら見えてるのに見えないフリをしたみたいになるから受けるしかないよね。
すごい嫌な予感がするけど...
そう思ってため息を吐き下を見るとあるものが目に入った。
例の物が必死に自分ならやれるというかのように目を動かしていたのだ。
そして私はあることに気がつく。
目の軌道が一定の周期になっているのだ。
「...わかりました。そうしましょう」
例の物の動きを見るために俯きながらそう言うと、悪徳神父は教会の壁に寄りかかって談笑していた警備隊を呼び寄せる。
...もう明らかにグルだよね。
「貴方たちはここに書いてある文字が見えますか?」
警備隊を呼び寄せた悪徳神父はわざとらしくそう聞く。
軌道だけ見てもよくわからないので、私は例の物の目の動きを指でなぞる。
「ああ、書いてあるぞ」
「そうだな、もしかして目が見えなかったりするのか?なあ?」
警備隊は笑いながらそう言い、それを聞いた悪徳神父は言う。
...これはレかな?
「この人がここには何も書いてないと言って営業妨害をしてくるのですが、何とかしてくれませんか?
「なんだって、それはいけないな」
「営業妨害をしちゃいけないってママに習わなかったのかなぁ?」
警備隊は嫌味を交えながら言う。
多分これはアが2回?
「そうゆうことです。大人しく金貨1枚を払うか、牢屋に行くか、好きな方を選んでください」
うーん、これはなかなか巧妙な手口...
けど、もうちょっと時間を稼げば何を言っているかわかるはず...
うーん...これはエかな?
「どっちも嫌です。あ、とりあえず話ぐらい聞いてくださいね?お互い無傷が1番でしょう?」
私は一旦解読を止め、腰のナイフに左手をかけながらそう言う。
とりあえずこれで相手を話の場と戦闘のどちらかへ引きずり落として時間を稼ぐ。
誰も何も言わないので私は言葉を続ける。
「理解してもらえたようで嬉しいです。では1つ質問です。その机になんて書いてあるかを教えてもらえませんか?あ、3人同時にお願いします」
「ええ、わかりました」
笑いをこぼしながら悪徳神父が言った。
...これはク?
これを繰り返してるから...レアアエク?
うーん...
「それじゃあ、お願いします」
私がそう言うと、3人が息を合わせて言う。
あ、1回目のアと2回目のアの動きが違うね。
ということは...えっと?
「「「聖水1瓶金貨5枚。鑑定料金は金貨1枚」」」
「さて、これで満足ですか?」
悪徳神父がドヤ顔でそう言う。
確かに普通ならこれでそっちの勝ちなんだろうけど...
この勝負は私が貰うよ!
私はついに例の物が何を言っているかわかった。
その言葉は...
ナマエクレ
...だと思う。
「ありがとうございました。それじゃあ、ちょっとこれを見てくれませんか?...アイちゃんお願い!」
私が例の物にそう言うと、例の物が私の手から飛び出し、聖水を見て鑑定結果を表示した。
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水
街の井戸から組んできた水。
そこそこ美味しい。
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