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32話 赤

「おお〜満月!それにしても3つ?」


無事にログイン出来た私は空に浮かぶ3つの月のうち、2つの月が満月になっているのを見てそう言っていた。

フレッドさんの口ぶりから月は2つだと思っていたのだが、実際は3つだったようだ。


「それじゃあ、行きますか」


しばらく月を眺めた後、私は森へと走り出した。

森の中を記憶を頼りに進みながらあること気がつく。


「それにしてもモンスターがいつもより多いね。やっぱり夜だからかな?それとも満月のせい?」


草木の隙間から見えるモンスターの数が昼間よりも明らかに多い。

墓場のことを考えると、夜だからなのだろうか。

そう考えていると、目の前の茂みから熊が飛び出してきた。

こちらに気づいた熊が叫ぶ。


「くまぁ!」


「えっ?」


なんとも可愛らしい鳴き声である。

しかし、鳴き声の可愛さと違って見た目は普通の熊であり、おそらく凶暴性は普通の熊よりも上なのだろう。

鋭い爪がついた手で殴りかかってくる。


「危なっ!」


鳴き声で気が緩んでいた私は手に持っていた短剣で何とか攻撃を受け止める。

しかし、次の瞬間にもう片方の手が振られ私は為す術なく後ろに吹き飛ばされる。


「痛た...」


そう呟きながら立ち上がると、熊が木を根元から折り取ってこちらへ投げつけようとしていた。


「グ...マァァ!」


先程とは違い、角がある声でそう叫びながら槍のように木を投げてくる。


「それは普通に怖いかなっ!?」


私は全力で走って何とかその木を避け、熊が次の木を折ろうとしている隙に熊へと近づく。

熊は木を折るのが間に合わないと察したのか木から手を離し、両手でこちらを迎撃する。

しかし、慌てて行ったであろうその攻撃は先程とは速さが違い、余裕を持って避けることができた。


「それじゃあ、お返しっ!」


私はそのまま熊の懐へと飛び込むと心臓目掛けて短剣を突き刺す。


「あ、これダメかも」


しかし、厚い肉に阻まれ短剣は刃の中程までしか刺さらなかった。

しかも、短剣が抜けなくなるおまけ付きだった。

私を抱きしめようとしてくる熊の手を屈んで避け、なんとか熊の懐から抜け出す。


「...どうしようかな、これ」


木を投げながら追いかけてくる熊から逃げながら、何か使えそうなアイテムはないかとウエストポーチを漁る。


「これは...やるしかないかな」


しばらくしてウエストポーチの中から出てきたのは魔法玉を作る時に強化された蜘蛛の殻だった。

他には骨がギリギリ使えるかもといったレベルだろうか。

骨を使ったら一瞬で折れる未来しか見えないが、念の為何本か取り出しやすい位置に置いておく。


「...短剣は返して貰うよ!」


熊が投げた木を避けたタイミングでそう叫ぶと殻を両手で体の前に構え、熊へと突進していく。

熊の直前で急停止して振り下ろされた手を避け、横から迫るもう片方の手を殻で受け止める。


「最初と同じ攻撃で良かった!それじゃあ、今度こそ!」


私は何とか勢いをつけて熊の懐に飛び込み、短剣の柄に殻で体当たりする。

その勢いで短剣は深く熊へと突き刺さり、熊は後ろへと倒れる。

熊は倒れた後も起き上がろうと動いていたが、殻で何度も頭を叩いているとそのうち動きを止めた。


「何とかなって良かったぁ...これは予備の短剣が必要だね。いっその事二刀流もありかな?」


念の為しばらく頭を叩いた後、私はそう言って短剣を抜こうとするが深く刺さった短剣はなかなか抜けない。

数分後に何とか短剣を抜き、解体を終わらせる頃には私はすっかり疲れきっていた。


「さて、月光草はどこかな...」


まだ本来の目的は達成できていないので、私は再び月光草を求めて歩きだした。


「...それにしても、ここどこ?」


熊から逃げる時に道がわからなくなってしまったが。

それから時々モンスターを狩りながらしばらく歩き続けていると、視界に光が映る。

その光を目掛けて歩いていくと、そこには幻想的な光景が広がっていた。

一面に月のような光を放つ花が咲き誇り、中心には2本の木が絡まって1本の木のようになっている。

そんな中一際目を引くものがあった。

2本の木の根元に赤く光る渦があったのだ。


「まあ、まずはこの花採るんだけど」


渦を後回しにして足元に咲く花を採ると、ウエストポーチから例のブツを取り出し鑑定する。

例のブツの瞳孔を花に向けると、しばらくそれを眺めた後グルリとこっちを向いて鑑定結果を表示した。


「ひっ!?なんで動くの!?もう怖い怖い...」


仕様だと諦めて鑑定結果を見る。


________________________

月光花


満月の日にだけ咲く珍しい花。

月の魔力を集めて光を放つ。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


「月の魔力は何かに使えるかな?なんにせよ綺麗だし何本か貰っておきますか」


追加で何本か花を採ると、私は赤い渦へと向かう。


「さて、この渦だけど...入るべきだよね?死んでも月光花は残るはずだし」


前回の経験からそう判断した私は、一通り装備を確認した後赤い渦へと入っていった。

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