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31話 狂気

あれからモンスターを狩り続け、無事に汚染された水晶を手に入れた私は錬金術ギルドに戻ってきていた。

幽霊にボロボロにされた服がいつの間にか元の見た目に戻っていたので、スキルを作る前に改めて服を鑑定してみる。


「私の記憶違いで再生スキルがついてたりしたっけ?」


そう呟きながら鑑定してみると驚くべき結果が現れた。


________________________

シルキーワームのTシャツ



装備可能レベル:1以上


耐久力:233/300



シルキーワームの布で作られたTシャツ。


通気性、伸縮性が高い。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


もちろん再生スキルはついていないし、耐久力は半分以上も残っていたのだ。


「うーん...なんで壊れたのかな?わからないし、スキル作成しますか」


結局装備が壊れて直った理由はわからなかったので、理由を知ることは諦めてスキルの作成を始める。


「とりあえず浄化から始めますか」


私は水晶を手に入れるまでに手に入った骨を砕き水晶と一緒に鍋に入れる。

1度やったことがあることなので、特に何事もなく浄化された水晶が完成する。


「それじゃあ、水晶と目を入れて...他の鳥の素材も入れる?」


鍋に水晶とスティールホークの目を入れるが、液体の色は変わらない。

試しに肉以外のスティールホークの素材を入れると液体が白く変化したので、中火で混ぜていく。


「もう一筆書きも慣れてきたね」


再生と同じように模様が出てくるので、一筆書きでなぞっていく。

始点が決まっているので、慣れてくればテンポよくなぞっていくことができる。


「よしっでき...た?」


しばらくして無事に錬金は終わりアイテムが浮かび上がって来たのだが、その見た目がなかなかに怖かった。

今までと同じ水晶を想像していたのだが、今回できたのは水晶大の大きさになった目玉だったのだ。

幸い動くようなことはなかったが。


「...とりあえず鑑定しますか」


恐る恐る目を手に取り、水晶で鑑定する。


________________________

鷹の目の魔法玉


食べると 鷹の目 スキルを覚える。

遠くを見通す鷹の目の力が込められた宝玉。

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「違う、そうじゃない」


鑑定結果を見た瞬間、私はそう言っていた。

鑑定スキルが欲しかったのに、出来たものは遠くを見るスキル。

そう言ってしまうのも仕方ないだろう。


「...とりあえず食べますか」


とはいえ出来てしまったものは仕方ないので、スキルを覚えることにする。

見た目が目なので食べることに抵抗があるが、目を閉じて口に入れ噛み砕く。


________________________

スキル 鷹の目 を獲得しました。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


「仕方ないから、虫眼鏡風にでもしてみますか」


まだ鑑定アイテムとして使うことを諦めていない私はそう言って部屋を出た。


◆◆◆◆◆


「鷹の目の性能を確認しますか。スキル名を言えばいいかな?鷹の目!」


草原についた私は少し高くなっている場所に立ち、スキル名を言う。

するとスキルが発動し、視界が双眼鏡を見ているような状態へと変化する。

少し顔を動かすだけで視界が大きくぶれるので、酔いそうだった。


「...これはなかなか使いにくいね。元に戻すには...キャンセル 鷹の目 解除...あ、戻った」


遠くを狙う時には使えるのだろうが、至近距離で戦う私のスタイルには合っていないのですぐにスキルの使用をやめる。


「一応モンスターを探す時には使えるのかな?」


そう言いながら、私は視界に映った牛へと走りだした。


◆◆◆◆◆


「それじゃあ、作っていきますか!」


鳥を狩り、素材売場で必要そうな素材を買ってきた私はそう言って作業を始める。

まずは買ってきたコーティング剤を目に塗る。

次に素材売場で買ってきた金属板を目を収まるような大きさの円形に曲げていく。

曲げ終わった金属板の邪魔な部分を切り取り、1箇所にネジ用の穴を開ける。

木と皮で持ち手を作ると、1度釘を差し込んで穴を開け、その穴にネジを差し込んで固定する。

最後に目を接着して、虫眼鏡風の何かが完成した。


「予想はしてたけど酷い見た目だね...」


レンズ部分が目に変わった虫眼鏡、なかなか持ち歩きたいと思えるようなものではなかったが、まだ他の案よりも見る機会は減るので我慢しよう。


「さて、上手くいくといいんだけど」


虫眼鏡を鍋に入れると、液体が絵の具をぶちまけたような混沌とした色に変わる。


「うわぁ...」


色を見てそう呟くと強火で煮込んでいく。

強火の理由は中途半端な火力だ色に負ける気がしたからだ。


「...あ、重くなってきたね」


しばらくすると、ウエストポーチを作った時のように液体が重くなってきたので、前に買った薪を入れ火力を上げる。

薪を入れて鍋の前に戻ると、模様が出てきていたので急いでなぞる。

いつものように続けて模様が出てくるが、徐々に液体が重くなってきているので薪入れと並行して模様をなぞらないといけない。

急いで行えば何とか間に合うので、必死に走り回って薪入れと模様なぞりをしていく。

何度かなぞるのが間に合わなかったが、無事にアイテムが鍋から浮かび上がってきた。


「はぁ...疲れた...鑑定がついてるといいんだけど...」


乱れた呼吸を整えた後、アイテムを手に取って鑑定する。


________________________

虫眼鏡風鑑定眼 ☆


装備可能レベル:1以上

耐久力:100/100


鑑定(小)


秘められた情報を見抜く眼。

製作者の狂気が感じられる。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


無事に鑑定アイテムが完成していたのだが、運営から見てもこのアイテムの見た目はまずかったようで...


「狂気...酷くない!?...今日の夜に向けてそろそろログアウトしますか」


狂気という文字にもやもやしたまま、私は今日の夜に向けてゲームをログアウトしたのだった。


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