25話 手伝い
区切りが悪かったので今回短めです。
あれからしばらく雑談をした後、私は唯一街の周りにあるマップで、まともに探索していなかった草原に向かっていた。
いたのだが...
いつも通り道に迷ってしまった。
森でのことと言い、迷うことに関して私の右に出るプレイヤーはいないのではないかとも思い始める。
オートマッピング機能がある地図アイテムは五つのアイテムを作り終わったら一番最初に作らなくてはいけないアイテムだろう。
そんなことを考えながら路地を彷徨っていると、これまたいつも通り怪しい人物と出会った。
怪しい人物は私の姿を見ると、ため息を吐いて近づいてくる。
「また君か...これ以上タダでアリアドネ―の糸を渡せる程僕は金を持っているわけじゃないんだ。だから君には僕のことを手伝ってもらいたいんだ。もちろん断ってこのまま路地を彷徨ってくれてもかまわないけどね」
怪しい人物はそう言って、提案を断る選択肢はないと言うかのように笑う。
「すいません、よろしくお願いします...」
迷惑をかけていたことへの申し訳なさからそう返事をする。
自分の中の優先順位を考えて動いていたため何度も迷惑をかけてしまったが、迷惑をかけることへの罪悪感はもちろん感じているのだ。
「そんなに落ち込まないでくれよ。僕が悪者みたいじゃないか」
そんな私を見て、怪しい人物がそう言う。
私はその言葉に従い、気持ちを切り替える。
「わかりました。私は何をすればいいんですか?」
「わあ、切り替えはやーい。それじゃあ、君には幾つかアイテムを取ってきてもらうよ。アイテムの情報を送るから、名前を教えてくれるかな?」
これは連絡アイテムが必要なやつだよね...
怪しい人物はそう言うが、私は連絡アイテムを持っていないので情報を受け取ることはできない。
「すいません、連絡アイテム持ってないです...」
「君って本当に面白いね...」
私の言葉を聞き、怪しい人物は全く面白いとは思っていないことがわかる口調でそう言った。
それから少しして、怪しい人物が再び口を開く。
「仕方ない、今は一つだけアイテムを教えるからそれが手に入ったらここに来て。そのときまでにはメモを用意しておくから」
多分アリアドネ―の糸の材料だよね?
もしかしたらアリアドネ―の糸を作れるようになるかも?
「すいませんありがとうございます。それで、どんなアイテムを採ってくればいいんですか?」
「そうだね。まずは、今街で人気のラムネをお願いできるかな」
...え、ラムネ?
食べ物だったのも予想外なのにラムネ?
「えっとラムネですか?」
「うん、そうだよ。シュワイダーを固めたような甘いお菓子なんだろう?僕は甘いものが大好きでね...2日前に噂を聞いた時からずっと食べたいと思っていたんだ」
どうして自分で買いに行かないのかな?
ここから動けないとか言った割には結構色んなところで会うし...
もしかして、ここって路地?
路地から出られないってことなら納得が行くけど...
そう考えていると、怪しい人物が再び口を開く。
「もしかして、ラムネはもう買えないような状態にでもなってしまったのかい?」
どうやら私が黙っていたので、ラムネの入手が難しいものだと思ったようだ。
「あ、多分買えると思います」
買えなかったら街で材料を探して自分で作ればいいしね。
「それは良かった!それじゃあ、よろしく頼むよ。路地に来るついでにでも渡してくれればいいからさ」
怪しい人物はそう言ってアリアドネ―の糸を私に手渡す。
次に来る時...上手く行けば2日後にお餅を食べにいけるからその時かな。
「わかりました、2日後か5日後ぐらいになると思います」
「2日後か5日後だね。楽しみに待っているよ」
「それじゃあ、ありがとうございました!」
私は挨拶をすると、受け取ったアリアドネ―の糸を使い、通りへと走りだした。
そんな私の背に声が届く。
「そうだ、もし連絡アイテムが手に入ったらエディガと調べてみてくれ!僕の名前だから!」
走りながらその声に答える。
「エディガさんですね、わかりました!私は海月です!今更ですがよろしくお願いし...」
走りながら言っていたので、最後の言葉はエディガさんには届かなかった。
私が走り去った後で、エディガさんが呟く。
「海月ちゃんかぁ...面白い子だね。それにしてもラムネ楽しみだなぁ」
どうやら、私はラムネに負けたようだった。




