18話 広場
「やっぱり教会にあった植物は見つからないね...」
あの後、森に行った私は教会にあった植物を探していたのだが...
「それにしても随分奥に来ちゃったけど、ここどこだろ?」
気がつけば迷っていた。
これは鑑定アイテムの前にオートマッピング機能がある地図を作った方がいいかもしれないね。
「まあ、適当に歩いていればそのうち道も見つかるでしょ」
そう自分に言い聞かせるために呟くと、私は再び植物を探し始めた。
それにしても道を外れてきたので沼程とは言わないがなかなかに歩きにくい。
「...あ、まだ採ってない花!」
そんなことを考えながら歩いていると、視界に見たことのない花が入った。
残念ながら教会にあったものではないようだが、採取しないという選択肢はないだろう。
そう考えて花に近づくと、ガサリという音と共に上から何かが落ちてきた。
「く、蜘蛛!?」
私の体の上にピンポイントで落ちてきた蜘蛛は私の体を脚で刺し貫く。
反撃しようとするも、倒れている状態では力が上手く伝わらずダメージを与えることはできそうもない。
無駄だとは思いつつも短剣で脚を攻撃していると、蜘蛛が再度私の体を突き刺そうとしたのか脚を上げたので、体を転がして降ってきた脚を避け拘束から抜け出す。
立ち上がって再生ラムネを食べると、傷口から緑の泡が出てきた。
おそらく回復エフェクトなのだろうが、どちらかと言うと毒のようなエフェクトだった。
「上から降ってくるって...これだから虫は嫌だよね...いや、蜘蛛は虫じゃないんだっけ?」
どうでもいい豆知識を思い浮かべながら、短剣を構えて蜘蛛に走りよる。
狙うのはやわらかそうな下腹部だ。
突き出された前2本の脚を1本は短剣で逸らし、もう1本は屈んで避ける。
次に打ち出された液体は前と同じように振り払い、スライディングをしながら蜘蛛の体に短剣を刺し、蜘蛛の体を切り開く。
体液が体にかかるが、顔にかかったものだけを拭い取り、悶え動く蜘蛛に追撃を仕掛ける。
横から何度も短剣を突き刺していると、蜘蛛は動きを止めた。
「やっぱり蜘蛛って強いよね...前方向の攻撃に特化しているみたいだから、パーティーを組んで囲めば楽そうだけど」
森ではパーティーを組んでいる人が多いのでその考えはあっているのかもしれない。
しかし、パーティーを組むような相手はいないので、それを試すことはできなかった...
「どうせ私は友達少ないですよ...」
少し悲しくなった私は蜘蛛の解体に集中する。
殻の値段が高かったので殻だけをとると残りを近くの窪みに捨てる。
「さて、花を回収して...あれ?あそこ開けてるね」
戦闘の前に見つけていた花を採取するために近づいていくと、木の隙間から広場のような所が見えたので花を回収して広場に向かう。
「おお〜何かありそうな所だね」
そこは学校の体育館程の広さで、1面に草が生え渡っていて中心には1本だけ木が生えていた。
私は草を採った後、木に近づく。
「ちょっと顔みたいに見えなくもないけど...なんにもないみたいだね」
木に顔のような模様が見えたのでトレントかと思ったが、触れても何も起こらなかった。
とりあえず木の周りを回って見るが、やはり何も起こらない。
「うーん、何もないのかな?こうゆう時に鑑定アイテムがあれば何かわかりそうなものだけど...地図にせよ鑑定アイテムにしても早いところ作らないとね」
ここにいても何もわからなそうだったので、街に戻ってログアウトすることを決めた。
広場を歩きながらふと呟く。
「...そういえば、ここどこ?」
◆◆◆◆◆
あれから森を30分程彷徨い、なんとか街に戻ることができた。
「今日はよく迷う1日だったね...それじゃあ、部屋に戻ってログアウトしますか」
宿屋の前まで辿り着きそう言う。
ちなみに部屋に戻ってからログアウトする理由はログアウトしている最中もアバターはその場に残るからである。
「あ、お客さん待ってましたよ」
宿屋に入るとカウンターにいた店員さんから声をかけられる。
待ってた?
ラムネのことで何かあったのかな?
「何かあったんですか?」
「お客さんが話の途中で出ていったので話の続きをしようと思っていたんですよ。今は時間大丈夫ですか?」
そういえば魔法ととっておきの話って言ってたような?
そろそろログアウトしないと怒られそうだけど...
話を聞くぐらいなら大丈夫でしょ。
「はい、大丈夫です」
「それじゃあ厨房で話しましょうか」
店員さんがそう言って厨房へと歩いていくので、私もそれについて行く。
どんな話が聞けるのかな?
「それでは話させていただきますね。何故この街がここに作られたのかを」
...え?




