17話 縛り
「それじゃあ、鑑定からしていきますか」
私は錬金術ギルドに着くと部屋を借り、採ってきた素材の鑑定を始めた。
いちいち部屋をとって、鑑定してから錬金だと時間がかかるからそろそろ鑑定アイテムを作りたいね。
まあ、今は使えそうな素材も見つけられてない訳だけど...
こんなことを考えているから時間が足りなくなるのだと思考を切り上げ鑑定に集中する。
「まずはこの骨からっと」
そう言ってウエストポーチから取り出した骨を水晶に当てる。
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スケルトンの骨
スケルトンの骨。
魔力に汚染されている。
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魔力に汚染されている...
また浄化しないといけないアイテムが増えたね。
それじゃあ次!
ウエストポーチから適当にアイテムを取り出すと汚染された水晶が出てきた。
「さて、何かヒントがあるといいんだけど」
フレーバーテキストにヒントがあることを期待して鑑定する。
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汚染された水晶
魔力に汚染された水晶。
薄く何かの模様が刻まれている。
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「もしかしてこれはヒントかな?」
模様を探すため水晶を注視すると、うっすらとだが確かに模様が見えた。
「うーん...どこかで見たことがあるようなないような?」
十字と円が組合わさったその模様はどこかで見たことがある気もするが、しばらく考えても思い出すことはできなかったので鑑定を再開する。
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ゾンビの骨
ゾンビの骨。
魔力に汚染されている。
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これもかぁ...
汚染された素材多くない?
次!
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ゾンビの魔石
ゾンビの魔石。
魔力が込められている。
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これは魔力が込められている?
...汚染されているのとどう違うのかな?
よくわからないし、とりあえず次!
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石
なんの変哲もない石。
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あ、石だ。
なんでこれを拾ってきたんだっけ?
思い出せない...
次行きますか!
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スケルトンの魔石
スケルトンの魔石。
魔力が込められている。
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ようやく出てきた...
魔石を鑑定すること約10回、ようやくスケルトンの魔石が見つかった。
スケルトンの魔石は一応採っておこうと1個だけ採っていたので、探すのに時間がかかってしまった。
予想はしてたけどゾンビとほとんど同じだね。
「それにしても石以外魔力に汚染された素材しかないって...これじゃ流石に水晶を浄化するのは出来なさそうだよね...」
とりあえず森に行って植物を探して、それでもダメなら仕方ないし教会に行きますか。
できることならあの教会には行きたくないなぁ...
全財産で聖水を売ると言っていた神父を思い出し、あそこには行きたくないという思いが高まる。
それじゃあさっそく森に...
いや、その前に少し素材を売っていきますか。
そう決めた私は鍵を持って受付に向かう。
「部屋使い終わりました。ありがとうございました」
受付に向かい、いつも通りミルさんに鍵を返す。
「お疲れ様でした。今日は早かったですね」
「今日は素材の鑑定だけで錬金をしなかったので」
「もしかして、鑑定アイテムを持っていないんですか?近くにあるヘディンの魔道具店に銀貨1枚で売っていますよ」
鑑定アイテムって売ってたんだね。
いや、街をあんまり探索してない私が悪いんだけど...
せっかくここまで買わないできたし、自分で作りますか!
こう、縛り的な?
「私、店売りのアイテムを使わないようにしてるので...」
少し間を置いてそう答える。
正確に言えば、錬金術で作れそうなアイテムは店売りを使わないなのかもしれない。
そうすれば素材を買うことはできるからね。
「そうなんですか。差し出がましいことを言ってすいません」
ミルさんは少ししゅんとした顔でそう言う。
「全然大丈夫です!というか教えてくれてありがとうございました」
「お役に立てたならよかったです。これからも頑張ってください」
「はい、ありがとうございます!」
私はそう言うと、錬金術ギルドを出て森へと走り出した。
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「海月さん...でしたか。これから面白いことになりそうですね。フレミアさん、報告に行ってくるので少しここお願いします」
私がいなくなった後、ミルさんはそう言って受付の奥へと歩いていった。




