16話 墓場
「さて、これからどうするべきかな?」
アリアドネーの糸を使って錬金術ギルドへとたどり着いた私は、素材売場を歩きながら悩んでいた。
というのも、素材売場には教会で見たものが何ひとつとして売っていなかったのだ。
しばらく考えて、私は1つの結論に達する。
「あの植物とかは全部鑑賞用で、教会の奥に聖水なんかがあったりしたのかな?」
教会には私が入った場所の先にも続いているようだったが、あれ以上先は不法侵入感がしたので行かなかった。
おそらくそこに玉を浄化できる素材があったのだろう。
「教会にありそうな浄化素材...聖水とか?ちょっと探してみますか」
その素材が聖水ではないかと当たりをつけた私は、聖水を求めて歩き出した。
一通り見回ってみたが素材売場には売っていなかったので、どこかに教会があることを信じて通りを歩いていく。
しばらくすると、予想通り教会が見つかった。
「すいません、聖水って売ってたりしますか?」
教会の前を掃除していた神父さんに声をかける。
すると、優しそうな顔をしていた神父さんの目が光を帯びる。
え?
すごく嫌な顔してるんだけど...
「聖水は一本金貨5枚です。買っていきますか?」
高っ!?
えっと金貨だから...
銅貨1万枚!?
いくらなんでもぼったくりすぎる気がするんだけど...
「あ、大丈夫です」
私はそう言って教会から離れる。
後ろから、足りないなら全財産で売りますよ!なんて声が聞こえてくるが、足を止めずに歩いていく。
どれだけ金が欲しいのかな?
「それじゃあ、墓場に行って何か使えそうな素材がないか探してみますか」
墓場を選んだ理由は汚染された水晶が採れる場所のため、相性がいい素材があるかもしれないと思ったからだ。
仕方ない、全財産の半分で...という声を無視し歩くこと5分、私は無事墓場に到着した。
墓場は今までのフィールドの中だとのダンジョンに近い雰囲気で、うっすらと紫色の霧がかかっていた。
沼と大きく違う点は、足元が安定していることとあちこちにモンスターの姿が見えることだろう。
モンスターが多くいるので経験値効率がいいのか、たくさんの人の姿も見える。
「それじゃあ、狩りますか!」
私はそう言って、近くにいたスケルトンに切りかかる。
私の短剣は狙い通りにスケルトンの肋骨の隙間を通り、守られていた魔石を砕く。
こんな感じで、大抵のアンデット型のモンスターはお金を稼ごうと思わないなら、体の中にある魔石を砕くだけで倒すことができる。
今回は魔石以外の素材を使う予定なので、この方法を使っていく。
スケルトンから採れる素材は骨だけなので、解体の必要がほとんどないのが嬉しい。
「次っ!」
それから2体スケルトンを狩ったところで新しいモンスターが目に入った。
「ゾンビかぁ...めんどくさいね」
私はそう言うとゾンビの胸元目掛けて短剣を振るうが、肋骨に阻まれてしまい魔石に攻撃することができない。
当たり前だがゾンビには肉がついているため、上手く隙間を狙うことができないのだ。
何度も攻撃すれば上手くいくかもしれないが、短剣の耐久性に難があるため、あまり無理な行動はしたくない。
仕方ないのでヒットアンドアウェイを繰り返し、少しずつダメージを与えていく。
ゾンビは動きが遅いので攻撃を受けることも無く、1分程で倒すことができた。
何気に初めてHPを削って倒したモンスターだった。
「さて、解体しますか...」
そう、ゾンビは解体も...いや解体がめんどくさいのだ。
体が腐っているので解体しにくいし、臭いし、いい素材が採れる訳でもない。
それでも少しは採って、浄化に使えるかを確かめたい。
ゾンビの素材は魔石と骨、崩れていない内蔵だ。
内蔵は使う未来が見えないので、腹を開いて魔石と肋骨を1本だけ採る。
残念ながら墓地には薮はなかったので、石の影に下向きに置いて隠しておく。
「それじゃあ、次行きますか!」
◆◆◆◆◆
「...おおっ!綺麗だね〜」
倒したスケルトンの体が光を放ち、見慣れた玉へと姿を変える。
墓地で狩りを初めてから1時間程がたち、ようやく汚染された水晶を手に入れることができたのだ。
「これだけ集めれば、なんとか浄化もできると信じたい...」
もし墓地以外の素材が必要だったら苦労も無駄になるかもしれないが、最初のフィールドはチュートリアル的なもののはずなのでなんとかなるのではないかと思っている。
もしダメだったら、森と草原で教会で見た植物を探すことになるだろう。
「それじゃあ、帰りますか」
そう言って私は街へと歩き出した。




