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15話 迷子

「さて、ここはどこだろ?」


あれから、ティアちゃんとフレッドさんに話をして家を出た私は道に迷っていた。

フレッドさんの案内を断って来たのでかなり恥ずかしい。

家にも戻ることも出来ないまま数十分程さまよっていると、道の先に人影が見えた。


「すいません、道に迷ってしまったんですが、通りまでの道を教えてくれませんか?」


ようやく希望が見えたと道の隅に佇むフードを被った怪しい人物に話しかける。


「...ああ、迷ったんだね。残念ながら僕はここから動くことができないから道案内はできないんだ。だから、代わりにこれをあげよう」


怪しい人物はそう言うと懐から糸を取り出し、私に渡す。


「これはアリアドネーの糸というアイテムでね。行きたい場所を言ってリリースと言えばそこまで案内してくれるんだ。1回使うと消えてしまうから注意してくれよ?それじゃあ、僕は行くよ」


怪しい人物がそう言った次の瞬間、怪しい人物はその場から消えていた。


「ここを動くことはできないって言ってた気がするんだけど...」


そんな疑問が口から出る。


「まあ、これで通りに戻れ...いや、普通に使うのはもったいないよね?」


私はしばらく考えて、行きたい場所を決める。

そして、私はウエストポーチから玉を取り出し、アリアドネーの糸を持っていない手に持つと言う。


「このアイテムを浄化できるアイテムがある場所!リリース!」


そう言うと、アリアドネーの糸が動き出し、空中へと伸びていった。


「おお〜使えた!それじゃあ、待っててね浄化アイテム!」


私は玉をしまうと伸びていくアリアドネーの糸を追って路地を走っていく。

何となく路地の奥に向かっているような気もするが気のせいだろう。

そのまま10分程糸を追って路地を走ると、急に視界が開ける。


「ここは...?」


そこには誰もいないが綺麗に手入れされている広場と教会があった。

私が広場へと足を踏み入れると、アリアドネーの糸は消えてしまう。

ここに素材があるということなのだろう。


「なんというか神秘的な場所だね。人がいないから余計にそう感じるよ」


私はそう呟き、探索に移る。

しばらく辺りを歩きまわるが、残念ながら使えそうな素材は見当たらなかった。

厳密に言うなら使うことができそうな素材、だが。


「色々と採りたいものは見つかるんだけど、どれも花壇とかにあるから採れないよ...」


そう、この広場には様々な植物や石などがあったが、どれも花壇や庭の中にあるため、採ることができなかったのだ。

もちろん、採ろうと思えば採ることはできるが、手入れされているところから物を採るようなことはしたくない。


「それじゃあ、ちょっと教会にお邪魔して帰りますか」


私はしばらく置いてあったベンチに座って庭を眺めた後、教会へと歩き出した。

教会の扉は開いていたため、入っても大丈夫だということだと信じ、中へと入る。


「すいません、誰かいますか?」


1歩中に入りそう言ってみるが、声が反響して聞こえてくるだけだった。

しばらく待っても反応はなかったため、私は教会の奥へと歩いていく。


「それにしても本当に不思議な場所だね...」


やはり、この場所は普通の教会と同じように礼拝のために作られたのだろう。

教会の中にはたくさんの椅子が並べられていて、1番奥には大きな女性の像が飾られていた。

ここも綺麗な状態なのに人がいないため酷く違和感を感じる。


「せっかく教会なんだし、何か願っていきますか」


私は像の前まで歩いていくと、手を合わせ祈りを捧げる。


「ティアちゃんの病気が治りますように...後、できることなら浄化できるアイテムを...」


もちろん前者の方がメインの願いだ。

私が魔法玉を作らなくても治るならそれに越したことはないだろう。


「それじゃあ、帰りますか」


せっかくレアそうなアイテムを使ったのに何も収穫がなかったのは残念だが、綺麗な景色を見ることができたのでよしとする。

ついでにこの場所にある植物などの素材の見た目をできるだけ覚えておき、玉を浄化できる素材を絞りこんでおく。


「それにしてもスクショ機能がないのが本当に残念だよ...」


残念ながら写真を撮ることもアイテム無しではできないので、次に来る時までに写真を撮れるアイテムを作ろうと心に決めて広場を出た。

それからしばらく辺りを歩き続けるが、一向に知っている場所に出る気配はなかった。

そんな時視界に人の姿が移ったので、道を聞こうと声をかける。


「すいません、道に迷って...あ、お久しぶりです」


その人はアリアドネーの糸をくれた怪しい人物だった。


「...アリアドネーの糸で通りに戻ったんじゃないのかい?」


怪しい人物はため息を吐いて言う。


「ちょっと他に行きたい場所ができて...せっかくアイテムをくれたのにすいません」


「仕方ない、もう1個アリアドネーの糸をあげよう。僕の手持ちも少ないんだ。次はちゃんと通りに戻ってくれよ?」


そう言って怪しい人物は再び私にアリアドネーの糸を手渡す。


「すいません、何度もありがとうございます」


「大丈夫だよ、次から路地に入るときは迷わないように気をつけてね」


そう言って怪しい人物は前と同じように姿を消した。

...それにしてもさっきあった場所ってここじゃなかったような?

本当に動けないとは一体...

まあ、気にしないということで!


「通り、リリース!」


私は今度こそ通りを指定してアリアドネーの糸を使い、伸びた糸を追って走りだした。

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