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14話 掃除

冒険者を部屋の外に連れ出し、私は言う。


「まずは大声出さない。いつも大声出してるから怖がられるんです。次、部屋はもっと綺麗に。あんな状態だと病気になるのも当たり前ですよ?最後ですがどう考えてもこれは回復の魔法玉じゃないです」


そう言って私はウエストポーチから袋を取り出し、中に入っていた玉を取り出す。

それは濁った水晶で、明らかに魔法玉ではなかった。おそらくだが、この水晶が汚染された水晶なのではないだろうか?


「な...ちょっと見せてくれ」


冒険者は玉を取ると、ポケットから虫眼鏡のようなものを取り出し玉を見る。

そして、玉をその場に取り落とした。


「嘘だろ?さっき見た時は確かに...」


これは私のウエストポーチと同じような鑑定偽装かな?

まあ、それがわかってもどうにもならない訳だし、今はできることをやっちゃおう。


「それが偽物だったのは残念ですけど、まずは部屋を片付けるのが先です」


冒険者が落とした玉をさりげなくウエストポーチにしまい、私は言う。


「それじゃあ、掃除道具と何かゴミを入れられるようなものを持ってきてください。袋でも箱でも物が入ればなんでもいいので」


「...ああ、わかった」


冒険者がそう言ってどこかへ行くのを見て私は部屋に戻ると、少女に優しく声をかけて部屋にあるものの分別を始める。


「ここに必要かどうかわからないものを置いておくから、取っておくかどうかを分けてくれないかな?もちろん無理はしないでね」


食べかけのりんごの芯、折れた棒など明らかにいらないであろうものと、ボロボロになった服や本などのまだ使えそうなものに分けていく。

そうしていると、冒険者が箒と数枚の布、箱を持って部屋に入ってきた。


「持ってきたぞ。次はどうすればいい?」


「変態さんは妹さんと物の分別をお願いします。いらない物はこの箱に入れてください。後、いらなそうな物は分けましたが、一応確認はしてください」


「だから俺は変態じゃない...」


冒険者はそう言うが、名前を言わない冒険者が悪い。

私は冒険者の言葉をスルーして箒を手に取り、部屋の掃除を始める。

うん、随分埃が溜まってるね...

部屋を一通り掃き、集めたゴミは布で掴んで箱に入れておく。


「すいません、妹さんを部屋の外に連れていってください。今からかなり埃が舞うので」


無理に動かすのは体に悪いだろうが、今後もこの部屋にいることを考えれば、掃除を済ませてしまった方がいいだろうと考えそう言う。


「わかった、ティア乗れるか?」


「うん、ありがとうお兄ちゃん」


どうやら少女の名前はティアと言うらしい。

まさか冒険者より先に名前がわかるとは...

ティアちゃんを背に乗せ、冒険者は部屋を出ていく。

私はそれを確認すると、天井に着いている埃を箒で払い始める。


「...それにしても汚いね。あの冒険者さんは掃除を知らないのかな?」


そんなことを言いながら天井の埃を落とし終わったところで、冒険者が部屋に戻ってくる。


「なあ、次は何したらいいんだ?」


「それぐらい自分で考えられないんですか?そもそもさっき言ったこともまだ終わっていないようですし」


とりあえず片づけを終わらせろと言って、私は床に落ちた埃を集める。


「ん?ああ、ありがとな」


そう言って部屋の隅に移動し、置いてあるものをまとめて持ち上げようとしながら冒険者が続けて言う。


「それにしても、なんでこんな見ず知らずどころか嫌ってるやつのことを助けてくれてるんだ?」


そんなこと考えてたんだね。

錬金術ギルドの時とは別人みたいに思えるよ。


「まさか、私が変態さんのことを助けるとでも?私はティアちゃんを助けているだけですよ?」


私は適当にそう言う。


「ティアだとしてもほとんど知らない相手だろうが」


実際あまり深い理由がある訳でもないんだよね...

なんて言おうかな...

しばらく考えて私は言う。


「強いて言うなら私のためです。私の知ってる人で多分そこそこいい人...あまり悪くはなさそうな人...いや、悪いけどいい所もありそうな変態さんですかね。まあ、そんな人が困ってるのを見捨てたら、罪悪感で夜しか眠れなくなるんですよ。なので私の安眠を手伝うためと思って大人しく手伝われてください。変態さんわかりましたか?」


「...色々と言いたいことはあるが、お前が良い奴だってことはわかった。後、何度も言うが俺は変態じゃない。フレッドって名前があんだよ」


なるほど...

仕方ない、これからは名前で呼びますか。


「そうだったんですか変た...フレッドさん。私は海月です。改めてよろしくお願いします」


あ、口が滑った...


「...おい?」


これは振りだよね?

仕方ない、言ってあげますか〜


「すいませんフレッ ド変態さん、つい癖で」


「それは悪意しかねえよな!?」


うーん、いいツッコミ。

漫才とかよく知らないけど。


「バレましたか。さて、そろそろ話を止めて掃除してください」


話をしている間に床の埃を集め終わった私はそう言う。


「ああ、わかった。ありがとよ」


フレッドさんはそう言うと物を抱えて部屋を出ていった。

それからしばらくして、掃除を終わらせた私は言う。


「掃除も終わったし、魔法玉を作りにいきますか!」

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