12話 魔法
「それじゃあ、魔法について説明させていただきますね。とは言っても、私は魔法の専門家という訳でもないので、話せることは一般的なことだけですが」
そう言って店員さんは魔法について話し始める。
「まず、魔法ですが、魔物.....つまりモンスターの力を誰でも使えるように錬金術で作り直したものなんです。例えば、さっき私が使ったドライは人体から血液を抜き取るモンスターの力を使いやすくしたものなんですよ」
さらっと言ってるけど血液を抜くって物騒な.....
そのうちそんなモンスターと戦わないといけないんだよね?
遠距離から攻撃するしかない気がするし、遠距離攻撃用のアイテムは作っておかないといけないかな?
「話を続けますね。そんな魔法の覚え方ですが、錬金術で作った魔法玉を食べるだけです。そうすると魔法玉ごとに決められた魔法が使えるようになります。魔法玉はだいたいが光る水晶のような見た目をしていて食べられるようには見えませんが、ちゃんと食べられますので」
どこかで聞いた話.....
あ、解体スキルを覚えた時のあの玉だ!
解体はスキルだったし、魔法もスキルってこと?
どっちも現実じゃ出来ないことをやってる訳で、同じようなものだしね。
「ここまでは大丈夫ですか?」
私の反応が全くないからか、店員さんがそう聞く。
「あ、大丈夫です」
考え込んでいた私はその言葉で現実に引き戻され、そう答える。
「では話を続けますね。肝心の魔法玉の手に入れ方ですが、基本的には店で買うか、作るかの2択ですね。誰かから貰うようなこともあるでしょうが、それは例外ということで」
あ、その例外を引いた人です。
口にはしないが、そう心の中で思う。
「それで、せっかく錬金術師なんですから魔法玉の作り方をお教えしましょう」
「本当ですか!?」
まさか作り方を教えて貰えるとは.....
店員さんは錬金術師だったのかな?
「本当ですよ。とはいえ、作れるのは低ランクのものだけですけどね。では説明させていただきますね。まずメインになる材料は街の南にある腐敗の墓地にいるモンスターが時々落とす『汚染された水晶』です」
汚染された水晶.....
名前を聞く限り、1回汚染を取り除いてからもう1回錬金する感じなのかな?
となると聖水とか、神殿の祝福みたいなことが必要だったり?
「1つ質問なのですが、これ以上話を進めて大丈夫ですか?錬金術で色々と試す過程が好きという方も多くいますので」
つまり、汚染された水晶にさえ気づけば後は何とかなるってことだよね?
それなら自分でやってみたいよね!
「これから先は自分で挑戦してみたいと思います!ラムネの材料といい話を聞かせていただきありがとうございました!」
私はそう言って店員さんに頭を下げると、薬草入りラムネを回収してキッチンを出る。
話を聞いてすぐにでも挑戦してみたくなったのだ。
「まだ、とっておきの話をしてないんだけど.....また後で言えばいいかな」
だから、私は店員さんがそう言っていたことには気づくことはなかった。
◆◆◆◆◆
「さて、まずはラムネの錬金を終わらせますか!」
店から飛び出した私は錬金術ギルドへと戻り、ラムネの錬金を始めようとしていた。
一瞬南にあるという墓場に向かいかけたが、今日の目標は回復アイテムの作成ということを思い出したのだ。
「それじゃあラムネを鍋に入れて.....あれ?」
ラムネを入れようと鍋を見て、違和感を感じる。
部屋を出る前は鍋の中で漂っていた薬草がなくなっていたのだ。
底に沈んだ訳でもなく、完全に鍋の中から消えている。
「まあ、掃除する必要がなくなったということで」
どうせ理由はわからないので、深く気にせずに鍋にラムネを入れる。
すると、液体がフィリン草と同じ薄緑に染まる。
「これは出来るんだね。火加減は弱火かな?」
意味があるかはわからないがラムネが崩れないように弱火でゆっくりと鍋をかき混ぜる。
普通、液体に入れれば溶けるだろうから、それがない時点で気にしても無駄なのかもしれないが。
しばらくすると、入れる前より少し色が濃くなったように見えるラムネが浮き上がってきた。
「さて、肝心の性能はどうかな?」
出来たラムネを水晶に持っていき、当てる。
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再生ラムネ
再生(小)
再生の力が込められたラムネ。
食べるとHPが徐々に回復する。
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「おお〜成功だね!味は変わったかな?」
味の変化を期待して1つ口に入れる。
しかし味に変化はなく、前と同じように青臭さが口に広がるだけだった。
「やっぱり味は変わらないかぁ.....今後の目標は味の改善だね。まあ、味を我慢すれば回復アイテムとしては使えるだろうから、次にやることは魔法玉作りだけど。それじゃあ、南にある墓場に行って汚染された水晶を採って来ますか!」
私は部屋を出て鍵を返すと、墓場に向けて走りだした。




