9話 戦闘
「よし!これでお前は大抵のモンスターを解体できるようになったはずだ!」
「はい、ありがとうございました!」
ガボさんから解体を教わること2日、私はついに近場のモンスター全てが解体できるようになっていた。
ちなみに給料は素材をかなりの量ダメにしてしまったので辞退した。
「内臓に毒を持ってるのとかが出てきたら、その時はまた教えてやるからな」
「は、はい.....」
少し返事が澱んでしまったが、二日もスパルタで教えられていたのだから仕方ないと思う。
さて、あのダンジョンにリベンジするために回復アイテムを作りにいきますか。
回復に使えそうなアイテムといえば薬草.....森かな。
「ガボさん。この近くにある森ってどうやったら行けますか?」
ガボさんが森に出るモンスターの説明をしていたので聞いてみる。
「森なら東、ギルドを出て右に行けば広場があるからそこを左に曲がって真っすぐだ」
東だけだと私に伝わらないと思ったのか、詳しい行き方を教えてくれた。
実際、東だけではわからなかったのでありがたい。
「ありがとうございます。行ってきます!」
私はガボさんにお礼を言うと、森に向けて歩き出した。
森は動物と虫だったね。
虫やだなぁ.....
◆◆◆◆◆
「森、到着!さて、どれが素材かな?」
森に着くと、私は生えている草や落ちている木の実を1種類1つづつ採っていく。
理由はどれが使えるかわからないからだ。
「早く鑑定アイテムを作らないとね」
そう呟きながら草を抜いていると、どこかから草をかき分ける音が聞こえてきた。
周囲を警戒して見渡していると、一匹の鹿が見えた。
あ、最初に解体した鹿だね。
一体何回解体した事か.....
さて、戦ってみますか!
私は短剣を抜き、ゆっくりと鹿に近づいていく。
鹿との距離が20メートルほどになったとき鹿が私に気づき、こちらへと駆けてきた。
好戦的なところを見ると、やはり動物ではなくモンスターなのだということがわかる。
「......ここっ!」
私は鹿とぶつかる直前に体を沈めながら横に飛び、すれ違いざまに腹を斜め下から短剣で切りつける。
短剣は骨に阻まれず体の中へと入っていき鹿の内臓を切り裂く。
腹を切られた鹿はしばらく走った後倒れ、痙攣を始める。
私はそんな鹿に近づくと短剣を首に突き立て、確実に命を奪い取った。
「初めてまともな戦闘をした気がするね。さて、解体しますか」
顔についた返り血を拭いながらそう言い、解体に取り掛かる。
「鹿の素材で高値で売れるのは皮と肉だったよね」
そう呟き、戦闘で切った部分を取り除き、使いやすい大きさで皮を切る。
それが終わると鹿のヒレ肉を取っていく。
理由はこの街での需要が高いらしいから。
ヒレ肉を取り終わると、残った死体が他の人の邪魔にならないよう藪の中へ置いておく。
ちなみに死体は最後に解体をしてから5分で消えるので、それまで見つからなければいいと願っておく。
もし、見つけてしまった人がいたなら.....ごめんなさい。
「それじゃあ、採取に戻りますか~」
それからしばらく植物を採取していると、モンスターを発見した。
ただし、今見つけたのは大型犬ほどの大きさの蜘蛛だった。
蜘蛛やだぁ...
動物型と違って虫型のモンスターは硬いし、気持ち悪い!
「虫・即・斬!」
何となくそう叫び、私は見つかることは気にせず蜘蛛に向かって走る。
案の定蜘蛛は私に気づき、8本の脚を動かしこちらに迫ってくる。
ああ、気持ち悪いぃ!
蜘蛛は私に近づくと口から液体を飛ばしてくる。
それを横に飛んで避け、近くにきた脚を切りつける。
しかし、その攻撃は硬い殻に阻まれ、あまりダメージが入ったようには思えなかった。
「やっぱり関節狙っていかないとダメみたいだ.....ねっ」
私に襲い掛かる前2本の脚を避けながら殻に守られていない関節部分を狙うが、脚は絶えず動いているためなかなか上手く当てることができない。
普通ならわざと攻撃を受けて反撃したり、時間をかけてゆっくり削っていけばいいのだろうが、装備が全く揃っていない現状ではどちらも厳しいと思う。
「つまり私にできることは、逃げるか、弱点を狙っての一撃必殺か.....もちろん一撃必殺狙うにきまってるよね!」
私は脚の攻撃が緩んだタイミングで前に出る。
蜘蛛は液体を吐いてくるが、私はそれを左手で受け、振り払う。
液体を連続して吐くことはできないのか噛みついてきた蜘蛛の首元に短剣を突き立て首を落とし、脚が届く範囲から抜け出す。
頭がなくなっても蜘蛛はしばらく動いていたが、やがてその動きを止めた。
「上手くいってよかった~腕は.....まあ、大丈夫そうだし解体しますか」
液体を浴びた腕は特に痛みもないため、解体に移る。
「蜘蛛は胴体の殻と脚が売れるんだったね」
胴の殻は上側と下側に分離して体から取り外し、脚は根本から切り取る。
残った死体は鹿と同じように藪の中へと捨てる。
「さて、もうアイテムは入らなそうだし帰りますか」
蜘蛛の素材でウエストポーチが埋まったので、私はギルドへ向けて歩き出した。




