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盲目な愛のメリーゴーランド  作者: リィズ・ブランディシュカ
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 まわる。


 まわる。


 ぐるぐる。


 ぐるぐる。



 夢の変わりに恐怖をのせて。





 メリーゴーランドが回る。胸の内に違和感。

 横にいる彼。卓也への恋慕の気持ちがわき上がって来た。


 そう、このメリーゴーランドで隣り合った者達は互いに好きあう。つまり恋愛感情を抱いてしまうのだ。


 一体何を思ってこんな事になっているのだろう。

 こんなものに載せて、どんなメリットが。

 こんな所に連れてきた犯人の意図が、まるで分からない。


「吊り橋効果って知ってるか?」と、彼は言う。

 景色が周っている。ぐるぐると。

 目隠ししていても感じる。私は「知っているわ」と答えた。


 それは、危機的状況で一緒にいる男女は、恐怖や不安の感情を恋愛感情だと錯覚するというもの。


「きっと、犯人はそれを研究したいんだよ」と、彼。しっくりこない。そうなのだろうか。分からない。かといって直接聞いてみるわけにもいかない。


 うっかり犯人の逆鱗に触れてしまって、危ない目に遭いたくはなかった。


 メリーゴーランドが止まる。ぐるぐると回っていた感覚も。同時に恋愛感情も消えていった。


 それからも私は何度か、男の人とペアになった。全部男性だ。偶然なのか女性とペアになる事はなかった。


 どの男性とも、結果は同じ。ペアになってメリーゴーランドが回り出せば。たちまち恋に落ちてしまう。


 愛は盲目だ。「君の事が好きだ」作られた環境、促された機会だと言うのに、その気になった者達はまるでそんな事関係ないかのように振舞いはじめる。


「全ての規則も常識も、どうでもいいんだ。俺は君を愛している」感情こそ全てだと言わんばかりに。


「卓也」と、私は新しいペアの名前を呼ぶ。今まで落とされなかったらしい。生きていた「由美」そう。声が聞こえる。


 どうでもいい。そう、どうでもよかった。


 今なら犯人すら許せそうな気がする。

 私達は死ぬけれど、愛する人と出会わせてくれてありがとう。そんな具合に。


 なぜなら愛は盲目だから。



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