呆れ3
「……だから何も変わってねぇじゃねぇか」
「だーかーら! わしはしかと望みを叶えてやったと言っておろう! 確認してみたらどうじゃ!」
甲高い騒ぎ声が頭に響く。付き合うのすらもうめんどくなってきた……。
「はぁ……もういい。お前どっから来た。そろそろ高速の降り口があるしそこで降ろしてやる。タクシーでも捉まえて帰れ」
「お前に憑りついとるんだから、帰る場所はお前になるんじゃが」
「まだ意味不明なこと言いやがるかこいつ……」
「で、あと3つ変えられるが、何か変えたいことはないのか?」
やかましい、構ってられん。無言で運転し続ける。
「なーにーかーなーいーのーかー!」
「だあああああもういい、うざい! 話しかけんな! 運転の邪魔だ」
「もっと大きな変化を望んでみてはどうじゃ?」
「うっせえ!」
サイドミラーで後続がいないこと確認し、ハンドルを左右に切って車体を揺らす。
「うわわわわ危ないじゃろ! やめんか!」
「じゃあいい加減口を閉じやがれ」
「いやじゃ。お主が願いをあと3つ言えばいい話じゃ」
「……言ったら消えるんだな?」
「願いを言えと催促するのをやめてやろう」
「じゃあ俺を資産家の息子にして、何不自由ない人生を歩んだことにしてくれ」
「よし。その望み、叶えてやろう。」