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第二話 冒険者

「まずは適職を調べる」


 ザングさんはテーブルに置いてあった何か装置のような物を俺の前に移動させた。


「この風見鶏に息を吹きかける。んで下に剣士とか色々書いてあるだろ? コイツが止まってくちばしの方向に書いてあるクラスが「適職」となる」


 ふーむ。テクゴーだと適職なんて無く好きなクラスで遊べたんだけどな。まあ言われたとおりにするか。俺は風見鶏に息を吹きかけた。ほどなくして風見鶏が止まる。

 えーと「テイマー」か。まあある意味当然だな。


「……もう一度やってみてくれ」


「?」


 言われた通りもう一度試す。結果はやはりテイマー。

 ザングさんは非常に困ったといった様子で顎に手を付け、テイマーの文字を睨みつけている。大きくため息を付いた後ザングさんは話し始めた。


「いきなりで悪いがお前は冒険者に向かない。というか「テイマー」が冒険者に向かないんだ」


 苦虫を噛み潰したような顔をしながら話をするザングさん。そこまでか。言いたいことはあったが、とりあえず彼の話を聞くことにする。


「それでも冒険者になりたい場合は次に向いているクラスを選ぶといい。テイマーの両隣のクラスが次に向いているクラスになる」


 右は剣士、左は回復士。


「しかしその場合、スキルの能力の8割位までしか使えない。低レベル帯なら大して問題にならないが高レベルになるほどその差は如実に現れるだろう」


 そんな制限あるのか。テクゴーと微妙に違うなぁ。

 うーん。まま、ここはテイマーにしておこう。


「クラスっていつでも変えられますよね?」


「ああ。ギルドに来ればいつでも」


「じゃあとりあえずテイマーで」


「そうか。そうだな、まず自分で試してみるのもいいだろう。まあさっき言った通りクラスはいつでも変えられる。変えたくなったら来てくれ」


「テイマーになるってクラス神官に伝えておいてくれ」


 ザングさんは受付の子に話しかけた。


「……わかりました」


 受付の子は部屋から出ていった。彼女も渋い顔をしていたな。


「では初心者講習を始める」


 テクゴーをやっていたのでだいたい知っている内容だった。が2点、大きく違うところがあった。まず俺以外の冒険者はスマホを所持していないこと。

 

 もう一つはテイマーの魔物の扱い方。テクゴーでは敵を倒すと魔石というアイテムになり、そこから複雑な手続きを踏んでようやく魔物と一緒に戦えるのだが、この世界では魔石をまた魔物化させ戦わせる「強制契約」が主流。これだと魔物のレベルを上げられない。しかも戦闘後に魔石が消滅と良いこと無し。これはザングさんが渋い顔をするわけだ、と納得した。


「話はこんなところだ。何か質問はあるか?」


「ありません」


「クラス神官を呼んでくる。ちょっと待っていてくれ」


 少ししてザングさんがローブをまとった女性を連れてきた。


「ではクラス水晶を埋め込む。好きな場所でいいぞ、多いのは手の甲かな」


「そうですね、左手の手の甲で」


「クラス神官、頼む」


「はい。ちょっとちくっとしますよ~」


 注射をしたくらいの痛みが手の甲に。


「おわりました~」


「おめでとう、これで「テイマー」になった」


「ありがとうございます」


 顔が祝福している感じではなかった。


「次はギルドカード作りだ。ギルドの方へ」


 ザングの後をついていく。


「まずはこの「鑑定魔法機」を使い水晶から情報を読み取る。そうすると自分のレベルを知ることが出来る」


 言われた通り行動。


『テイマー レベル1』


「カードには名前、クラス、レベル、ギルドレベルが書かれる。レベルは申告制で別にずっとレベル1のままでも構わない。まあ当然高レベルが書かれていたほうがパーティを組みやすいがな」


「それとこのギルドレベルは講習で説明した通り、依頼をこなすほど上がる」


「カードはもうちょいで出来る。後手続きも簡単な書き物をやって終わりだ。さっきの部屋へいくぞ」


 部屋へ戻った。書き物を終わらせて少し経ったところで受付の子がギルドカードを持ってきた。


「おめでとう! これでウルトは冒険者になった!」


「おめでとうございます!」


「ありがとうございます」


「これはギルドからの選別、100ゴルドルとこのあたりの地図だ。受け取ってくれ」


 お金と地図を受け取った。


「まずは採集の依頼がオススメかな。討伐関係はパーティを組んだほうが良い。まあ、そこはテイマーだとなかなか」


「それとここら付近は雑魚の魔物しか出ない。それでも気をつけるようにな」


「はい。ではこれで」


 とりあえず依頼書を見に行くことにした。たくさん貼り付けられている掲示板へ。


「簡単な採集っと」


 色々あるな。どれにしようか迷うくらいに。

 依頼書を眺めていると後ろからヒソヒソと話し声が聞こえてきた。


(新人、テイマーだってよ)


(あちゃーついてねーな。とにかく弱いからなぁ)


(パーティ求めてきたらうまく断らないと)


 人気がなさそうだ。これじゃパーティを組めそうにないな。まあ、仕方がないか。

 簡単そうな依頼書を選んで受付へ持っていった。

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