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公爵令嬢は占いがお好き  作者: 四宮 あか


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28/32

ずっと欲しかったもの

 このままドンパチやられたらたまったもんじゃないと思ったけれど。



 意外なことに、公爵様がやめるように右手を挙げて実にあっさりと終わった。

 私もとりあえず終わった様子にほっと一息をついた。

「マクミラン公爵様、そして他の皆々様うちの愚息のせいでご迷惑をおかけして大変申し訳ありません」

 意外なことにヴィスコッティ公爵はそういって私たちに頭を深々と下げた。


「いやいや、こんなところではなんですから。とりあえず中に」

 父がそういうものの。

 ヴィスコッティ公爵は、首を横に振った。



「いえ、ここで結構。まことに申し訳ありませんが、王都から遠いマクミランに息子を婿にやるつもりはないのです」

 神妙な顔で話す言葉には、ホント、ホント、ホントと浮かび上がる。

「結婚には父の承諾は何一ついりませんけどね」

「ノア!」

 そんな神妙な自身の父の態度なんかつゆ知らず、ノアは本当に空気をあえて読まず言いたいことをさらっという。



「お嬢さん。悪いことは言わない。顔に騙されたらいかん。こいつときたら面白いか、面白くないかですべての物事を決める変人。今は興味を持って接していても、興味が薄れたら手のひらを間違いなくかえすような息子だ」


 そんなのとっくに知っている。

 噂に違わず、街の一角の占い師に勝負に負けたから、スクロールの使用痕跡からマクミラン領を特定する才能の無駄遣いをした挙句、2か月も勝負にこだわり居座ったやばいやつ。



「こうだと思えば息子は手段をとにかく選ばない。お嬢さん、あなたは本当は息子に脅されているんじゃないか? お嬢さんが結婚をする必要は何もない。私でよけれあばなんでも力になろう」

 まさに半分脅され、なんていうか他の解決方法もないからこうなっている。

 流石この息子の父だけある。



 そして本当にヴィスコッティ公爵が力になってくれるとするならば、戦争がおこるかもしれないことや、それこそいい結婚相手など私の悩みが全部いっぺんに解消するかもしれない。


「あの「ティア、大丈夫心配しないで」

 これはもう、ヴィスコッティ様にありのままをお話しして。

 明らかに私の手にあまる奇人を連れて行ってもらえる大チャンスだと私は口を開いたら、すぐにノアが私の腰をしれっと抱いて言葉をかぶせてきた。

 その言葉が私をまるで思いやる言葉なのがまた怖い。



「ほら、お嬢さん。さぁ!」

 私が何か言いかけたことに気が付いてヴィスコッティ公爵がさらに言葉を促す。



「今までの私は確かに素行的によろしくないこともあったかもしれないけれど。誓ってもうそんなことは二度としない。ティアの隣で必ず朝を迎えるから」

 これは甘い言葉なんかではない。

 鍵かけてても無駄、部屋に入りますよ。

 次の婚約者が見つかっても無駄、寝室に私が出入りしているところを見られてもその婚姻は維持できるのかな? とこれではまるで脅し。


 隣で必ず朝にまとわりつくホント、ホント、ホントという文字に、こいつマジでやる気だという恐怖がこみ上げる。

 本当にそんなことされて、事後ですみたいな感じでやられたら辺境の地とはいえ、ゴシップ紙の常連であるノアが相手となれば、たちどころに貴族でこの話を知らぬものはいないまでになってしまう。



「ヴィスコッティ公爵様、あの私!」

 もうこれは、寝室にも無断で入ってこられないようにしてもらうこともセットで訴えてやれ! と思った私の目に入ってきたのは意外な言葉にまとわりつくホントの文字だった。



「私にはティアが必要なんだ」

 私なんかよりも、はるかに全部全部全部欲しいがままに、才能も容姿も自由もそして未来すらも持っているというのに。




 私の加護は望んでいなくても、それがどんなに残酷なことでも、信じがたいことであっても私にそれを見せるのだ。




 愛の言葉を告げられたことや求婚をされたことが今まで全くないわけではない。

 ただ、私の瞳はとらえる。

 恥ずかしそうに言葉にした相手の本心を。

 嬉しそうに笑う相手の本心を。


 本来なら決して見えないはずの――真実を……



 そして私は何度もそれを確認して絶望してきた。

 腰に添えられた手がかすかにふるえていたからだろうか、それとも必要だと言ってくれた言葉が本心だとわかったからだろうか。

 私はカップルが不安をかき消すために何度も繰り返す言葉を口にした。



「私のこと好き?」

「好きだよ」



 他の第三者が私とノアのやり取りをみれば、ノアの容姿と私の容姿を比べて十中八九何を騙されているんだお前となることだろう。


 だけど私の目には映るのだ。


 好きだよとサラリとのたまったノアの言葉に絡みつくかのように浮かび上がるホント、ホント、ホントという文字が。



 なんでこの人なんだろう。

 私が本当に欲しかった言葉をさらりと嘘偽りなくいってしまえるなんて。




 大きなため息をついて、ヴィスコッティ公爵様は私がノアの言葉に首ったけで何を言っても聞かないと思ったのだと思う。

 意外なことに日を改めますとあっさりと引いた次の日から私は意図に気が付いた。



 私に表向きだけではあるがモテ期が到来したからだ。

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