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勿論全てが
9.物語の始まり
何でもレンタル屋、というものがあるらしい。
しかし不思議なことに、店主の気が向かないとその店は現れないのだとか。
まるで魔法みたい、だが
「お前は何を貸して欲しい?」
今その店主は私の目の前にいる。
「貴方の人生を」
私の返答に、男は一瞬驚きながらも目を細める。
私は、この人のことを知りたい。
10.究極の幸せ
幸せを感じすぎると、死にたくなる時がある。
明日の自分の幸せが保証されていないことが恐ろしくて、それならばいっそ今この瞬間、幸せな気持ちのままに死んでしまいたいと思うことがある。
けれど簡単に死ねるわけもなく、私は不幸だと感じるときも呼吸をしている。
早く終わらせたいと、願いながら。