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エンジェルダスト  作者: 鈴雪
最終章 星の煌き
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墜ちる天使

 僕はすぐに武装を転送する。あくまで援護だから今回は遠距離から打撃を与えられるもの!

 右手のライフルモードの蒼窮に追加パーツが装着される。

 展開された銃身の横にブレードのようなバレルが、峰に追加エネルギーパックが装着された蒼窮ランチャーモード。

 さらに、左手にレールガンを装備する。全長は一メートルほど。二股に分かれた長い銃身を持つライフルだ。

「って、レールガンなんてあったの?」

『はい、先日修復が終わりました』

 ああ、そういえば、ガレージには修復メカがあったんだっけ。となれば、そのうち他の武装も復活するのかな?

 と、朱音さんが援護としてミサイルを撃ち、それを蟲がレーザーで迎撃する。っと、僕も速く始めなければ!

 引き金を引く。プラズマ化した弾丸と追加パーツで強化された弾丸が紫電の尾を引きながら放たれ、巨体故に外すことなく弾丸は突き刺さった。だが、多少の傷がついた程度。表面の力場でほとんど破壊力を殺されてしまっている。

 機械天使は対ヴェノム用兵器だというのに、僕ではこの程度しかダメージを与えられない。だが、あくまで今の僕の役目は囮。適度に引き付ければいい。

――おおおっ!

 そこにクロが突っ込む。すでにクロを敵と認識しているのかレーザーを放つ。が、素早いクロには当たらない。

 一瞬で接近し、長く伸びた刃が甲殻を切り裂く。それでも表面を多少削った程度で深傷には程遠い。

 さらに、蟲がミサイルを放つ。先端に瞳のついたなかなかグロテスクなデザイン。本当に生物がミサイル撃つのかよ。それを後退しつつ、引き付けながら両のライフルを速射に切り替えて撃ち落とす。クロも同じようにレーザーで薙ぎ払っていた。

 さらに僕らに向けてレーザーも飛んでくるが、距離を離しているから僕でも十分避けられる。ミサイルにレーザーと交互に飛んでくるのをひらひらと避けつつ、両手の火器でクロを援護する。

 しかし、タイラント級の攻撃が緩いのは気のせいかな? もっと針ネズミのようなものだったと思うんだけど……

 小さな疑念がちょっとしたしこりとなった。が、

『チャージ完了! 今から第二射を撃ちこむわ!』

 朱音さんの通信が飛び込む。

 考えるのはここまでだな。今は朱音さんの攻撃が当たるように援護しないと。

 できる限り引き付けようと、前の方に出て、タイラント級の顔の前で動き回り、攻撃を顔のあたりに集中する。ダメージはほとんど与えられていないが、虫が複眼で広い範囲を見れるとはいえ、目の前でひらひら動かれたらイラつくだろう。

 そうしているうちに朱音さんの強襲機が旋回し、こっちへと向かう。

 次の攻撃で終わってくれればいいんだけど。そんなことを思いながら、ひたすら攻撃しつづける。

 そして、朱音さんの機体が射程距離に入って……その背が大きく開いた。

 え?

 その下にあったいくつもの瞳から、レーザーの雨がまるで光の柱のように朱音さんの機体に伸びた。

『っち!!』

 咄嗟に朱音さんは機体を横に滑らせる。荷電粒子の槍は大きく外れて海を穿ち、水蒸気爆発を起こす。

 そして、朱音さんは避けきれず、機体の半分をごっそりと持っていかれた。

 大破した機体は海へと叩きつけられ、そのまま海に消えた。脱出したのを僕は見ていない。つまり、朱音さんは……

「朱音さん!?」

――気を逸らすなノエル!

 クロの叱責が僕の耳を打つ。

 タイラント級は一番の脅威である朱音さんを排除したからか、こっちにその暴力を向ける。

 無数のレーザーが僕らに迫った。

「うあああ!!」

 必死に翼を広げて避け続ける。じぐざぐに、ロールして、レーザーの発射タイミングと射角を計算し避け続ける。水平線が滅茶苦茶に動き回り、平衡感覚を失いそうになり、上と下も把握しきず、攻撃する暇なんてありはしない。まさに針鼠だ。

 こいつずっと三味線弾いていたのか?!

 クロと方策を話す暇すらない。

 でも、もう朱音さんが落とされた。引くしかないけど……

 そこまで考えて、警報が鳴り響く。目の前にタイラント級の鋏が迫っていた。

 しま、レーザーを避けるばかりで、気づかなかった!!

 なんとか軌道を変えて避けようとしたが、気づくのが遅かった。直撃を避けたものの、鋏に激突して大きく弾かれる。

「がっ!」

 くるくると宙を舞って、瞳の前に出る。あ、やばい。

 そう思った瞬間に瞳は光り、僕は横からクロから掻っ攫われた。一拍遅れて僕のいた場所をレーザーが貫く。

「あ、ありがとうクロ」

――礼は後だ。一度引くぞ!

 クロの言葉に頷く。もう僕たちにはあれをどうにかする手段がない。なら引くのが定石だろう。

 そこで僕らに生体ミサイルが数発迫る。この程度ならレーザーと比べれば遅くて避けやすい。クロも僕を抱えながらもミサイルを避けて……瞬間、炸裂した。

 避けることを計算して、近接爆発させた?!

――ぐっ!

「うわ!」

 爆風に僕らは吹き飛ばされる。

 そして、再び僕らは瞳の前に投げ出される。まずい、もう二人とも避けられない。

 それを僕は一瞬で判断し、咄嗟にクロを下に、海面に向けて蹴り飛ばした。

――ノエル?!

 海面に向けて落下するクロ。僕は左手を瞳に向け、光の奔流が僕を飲み込んだ。

 イージスを全開で展開する。レーザーが周囲に弾かれる。が、すぐに過負荷に機関が悲鳴を上げ始め、火花が散り、防御力が低下。少しずつ、装甲が焼け始める。

 そして、ついにイージスが停止、レーザーと僕を隔てる壁がなくなり、全身が焼かれる。

「ぐうううううう!!」

 表面に展開した耐熱ジェルが一瞬で蒸発し、対レーザー装甲が溶ける。放熱柵である髪が輝き、僕の身体事態が焼かれ始める。翼はあっという間に表面の羽根が焼かれ、フレームが露出していた。

 熱い、痛い。痛みに耐えるとか、そういうのを素通りした激痛が全身を苛む。ありとあらゆる警報が鳴り響き、僕の意識はそこで途切れた。


 ――ル

 ……声が聞こえる。

 誰だろう、僕を呼ぶ声が。

 ――ルってば。

「――ル!」

 目を開ければ、そこに見慣れた天井と、彼女の顔。

 身体を起こす。僕は家のソファーで寝てたみたいだった。

「どうしたの? ずいぶん魘されていたみたいだけど?」

 彼女は心配そうに僕の顔を見つめる。

「あ、いや、別になんでもないよ」

 僕の返事にそう? と頷いてから、彼女は笑う。綺麗で快活な笑みだ。

「なら、速く準備しなさいよ。今日は遊園地に行く約束でしょ?」

 あれ? そんな約束したかな? いや、そもそも、この場所は……

「ほら、早く――ル」

 そんなことを考えていた僕の手を彼女は些か強引に引っ張った。

まことに申し訳ありません。

この度はずいぶんと時間がかかってしまいました。

僕のような拙い文章を読んでくださってる方には謝る言葉もありません。

できるかぎり早くなんて言っても信じていただけないでしょうが、次はもう少し早く上げたいなと思います。

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