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エンジェルダスト  作者: 鈴雪
第十章 文化祭
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第七十話 文化祭~終了~

 ミスコンを終え、僕はアルトとはやなさんと教室に向かう。

「あれ、そう言えば漫研はいいの?」

 幽霊部員だからすっかり忘れてたけど、快活なイメージが強い割に、はやなさんって漫研部員だったよね。

「まあ、たった三人だから部屋取れなくてね……」

 と、残念そうにはやなさんが笑う。ああ、そうだったんだ。

 まあ仕方ないと言えば仕方ないけどさ。

 そんなたわいもない話をしながら僕らは教室に戻ってきて……

「犬神さんこんにちは。あとなんで、アグニがここにいるのさ?」

 犬神室長とアグニが遊びに来ていた。

「もちろん遊びにだ。ばっちり優勝した時のお前の姿は撮ったからな」

 愛用のカメラを僕に見せながら、ぐっと親指を立てるアグニ。

 あ、そうなんだ、ありがとう。

「あ、おじさん、犬神さんお久しぶりー」

 と、はやなさんが二人に挨拶をする。

「知り合いなの?」

「うん、よく酔い潰れた父さんをうちまで連れてきてくれるから」

 ああ、そういえば、柏木先生って朱音さんと同じでお酒好きなんだっけ。

「おじさんこんにちは!」

 とてとてとアルトがアグニに駆け寄ると、アグニは自分が食べていたものをアルトに分けて一緒に食べる。ほんと、子供に甘いよなこの人。

 そういえば、奥さんの夕子さんは見たことあるけど、娘さんには会ったことないな。今度アルトと会わせてもらおうかな。

「あ、そうだ犬神さん久しぶりにあれ、やって見せて」

「ああ、そうだな。せっかくの祭りだしな」

 と、犬神さんが頷く。

 あれって?

 すると、犬神さんは手元からオオカミの人形を出す。

<オッス! オレじゅうべえ! 誇り高き一匹オオカミさ!>

 ぱくぱくと人形の口が動くと、元気な少年のような声が聞こえた。

「おい、相棒、私の存在を忘れるなよ?」

<ああ、すまねえ相棒、俺は一匹オオカミじゃねえなあ>

 がっはっはと笑うじゅうべえ。

 えっと、腹話術か。普通に聞けば、まるで人形がしゃべってるように感じるけど、聴覚センサーでは音源が犬神さんって出してるし。

 周りから犬神さんの腹話術に感心した人たちが集まり、子供たちが目を輝かせる。

 なんか僕の周りって変な特技持ってる人が多いなあ。

「こんにちはノエルちゃん」

 いきなりかなねえに声をかけられた。

 振り替えるとそこに、

「香苗さん、と前田くん?」

「どうもテスタロッサさん」

 僕の通っていた高校も近いっちゃ近いけど、少しびっくりだ。

「たまたまそこで前田くんとあったんだ」

 ふーんそうなんだ。

 と、前田くんが僕を見ていた。

「なに前田くん?」

 と、問いかけると前田くんが紅くなった。

「あ、いや、き、きれいだなって……ってなに言ってるの俺?!」

 え、あ、ううううう。そういえば、ミスコンの時の格好のままだった……

 前田くんの言葉に僕も紅くなる。

 な、なんだよ。これじゃ女の子見たいじゃないか。いや、今は女の子だけどさ。でも、なんていうか、この反応は違うと思う。

 と、にやにやとはやなさんが僕を見ているのに気づいた。

「な、なに?」

「いやあ、初々しいなあって」

 親父か?!

 と、そんな風に和やかな空気で僕らの文化祭は終わりを迎えた。


 文化祭が終わり、その後片付けをしてから、僕らは家に帰る。

 アルトはすでに朱音さんが連れて帰っている。ちょっと残念そうだったっけ。

「楽しかったね」

「そうね。はやなちゃんも、ノエルちゃんもきれいだったよ」

 かなねえにありがとうとはやなさんが笑う。

 うん、確かに楽しかった。喫茶店も儲かったし、またこういう風にみんなで騒げれたらいいなあ。

 そんなことを考えながら、僕ははやなさんたちと姦しく騒いでいて、


 その人はいた。


 フードにサングラス、口元を覆うマスク。殆どその人の特徴が隠され、辛うじて見える長い金色の髪から、女性とわかる程度。はっきり言って怪しい。ここまで怪しさ大爆発な姿に怪しさ通り越して逆に怪しさが感じられない。

 その人は静かに僕たちの横を通り過ぎようとして、

「相変わらず綺麗な歌声ね」

 え?

 どこか聞き覚えのする感じの声を聞いた途端に頭に痛みが走った。


 気がつくと、何もかもがぼやけた世界に僕はいた。

「で、ここにいるのね」

 呆れたような声とともに誰かと遊ぶ妹だけが視界に映る。

「母さんと父さんに親戚はいないし、施設に入れるにも私と離れるのを嫌がってね」

 と僕が、いや『彼女』は笑う。

「あなたが離れたくないだけでしょ? まあ、気持ちはわかるけど、無理だけはしないでね」


『リン』

 夢と現実の声が重なった。

 僕はふらっと倒れかけ、なんとか踏ん張った。

「ど、どうしたのノエル?!」

 すぐに、はやなさんが支えてくれた。

「どうしたの?!」

 かなねえも心配そうに顔を覗き込んでくるけど、心配ないと答えてから振り返るけど、誰もいない。

 今の人はいったい誰だったんだ。それに……リンって誰だ?

 誰もそれに応えてくれる人はいなかった。


鈴:「エンジェルダストやっと文化祭編終了」

刹:「遅かったな」

鈴:「まあ、いろいろあってね」

刹:「まあいいさ。余談だが、今回登場の人物のイメージは仮面ライダーWのシュラウドです」

鈴:「次回から久しぶりに非日常パートです」

刹:「俺も活躍……」

鈴:「するわけないでしょう」


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