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エンジェルダスト  作者: 鈴雪
第七章 夏休み
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第五十六話 温泉に入ろう

温泉です。女湯でのお話なので、読まれる時はお気をつけください。

 この別荘のお風呂は露天風呂になっていた。半分屋外という恥ずかしさはあるけど、頬を撫でる風と、綺麗な星空の下にいるのは、なんか気持ちいい。露天風呂も悪くないね。

 うーん、星が綺麗……遥か遠くから、自分で光を放って輝いてるなんてスゴいなあ。

「ノエルー、なにぼうっとしてるの?」

 だが、はやなさんの言葉に現実へと戻される。

 しかたなく視線を地上に戻す。

 最初に視界に入ったのは、声をかけてきたはやなさん。

 インドア系の人間ながら引き締まったボディー。綺麗な鎖骨のラインに、胸には綺麗に膨らみ。うん、はやなさんはないって気にしてるけど、そんなことはないといいたい。

 そこから臀部に見事な稜線を描く腰にキュッと締まっていながら柔らかそうなお尻。

 その美しいラインはいわゆるトランジスタグラマーと言うべきだろうか。

 真っ白な肌と合わせてまるで陶器のようで、邪な意味ではなく頬摺りしてみたくなってしま……ごほん、ごほん!

 なんというか、男にとって鼻血やらなにやらが止まらないこと請け合いの光景が広がっている。だいぶ慣れたと思っていたけどまだ恥ずかしい。

「でも仕方ないよ。だって星がこんなに綺麗なんだもの」

 そうフォローを入れてくれるかなねえに目を移す。

 雰囲気のせいか少しふっくらと思っていたが、決してそうじゃない。

 柔らかな腰のライン、はやなさんより一回り大きな胸、そして、ふっくら丸みのある安産型のお尻。普段、服でわからなかったラインがはっきりわかる。

 はあ、あたりまえだけど、子供のころとは全然違うんだね。あの頃はぺったんこ、げふんげふん!

「ノエル、のぼせないでね」

 そして、朱音さんは……その、すごい。

 まずは、型崩れなどしてなく綺麗なラインを描くその大きく張り出した胸に目が行くだろう。

 大理石の肌には傷なんか見えず、日頃から鍛えてるためか、無駄な贅肉が住む余地のない締まった腰のラインに肉付きのいいお尻。

 なんと言うべきか、神がかっているとも言える芸術的な造形。

 同性であるはやなさんとかなねえも見惚れてたもんなあ。僕も朱音さんを見ていると自分のスタイルに自信が……って、いらないよ自信!!

「ママー、髪洗って」

 みんなを観察していた僕の膝にちょこんとアルトが座る。

 アルトは起伏は殆どなく……ってもういいでしょこんな描写!

「うん、綺麗にしてあげるよ」

 アルトの頭にピンクのシャンプーハットを装着させてあげてから、シャンプーを泡立たせて、わしゃわしゃとアルトの髪を洗う。アルトは目に石鹸が入らないようにぎゅうっと瞑っている。かわいいなあ。

 泡をお湯で流してから一緒に湯に浸かる。

 少し熱めのお湯が心地よい。邪魔にならないように結った髪を揺らす風も気持ちいい。

 と、そこでじっとはやなさんが僕を見ていた。いや、視線を辿ると、正確には僕の胸。

「な、なに?」

 胸を隠しながら問いかけると、はやなさんは深いため息をつく。

「ノエルって羨ましいくらい胸があるなって思ってたの」

 ううう、やっぱり胸だったのね。

 お風呂ですでに上気してるだろうが、恥ずかしくて顔がさらに赤くなってるだろう。

「ねえ、触っていい?」

 するとはやなさんがわきわきと指を動かしながら近づいてくる。

 僕はすぐに身を引いた。

「絶対いや!」

 僕は、守るように体を縮こめるが、

「えい!」

 かわいらしいかけ声とともにかなねえが僕を羽交い締めにする。

 い、いつの間に?!

「さあ、今よはやなちゃん!」

 かなねえの言葉にはやなさんは目を爛々とさせてにじり寄る。ちょ、ちょっと待て?!

 はやなさんのほうを見ると……なんか鼻息荒いんだけど? なんか目が赤々と紅に朱の散った色になってるよ!? 怖い、怖いよ!!

「ノエルの……」

 助けを求めて朱音さんを見るが、アルトの目を隠すだけでなにもしてくれない。た、助けてよ!

 そして、肌にはやなさんの息がかかるくらいまで近づいたと思ったら、はやなさんの手が僕の胸を鷲掴みにした。

「ひゃん?!」

 むず痒いようなよくわからない刺激に妙な声を出してしまう。

「うう、やっぱり大きい……ちょっと分けなさいよこのウォーターメロン!」

 そう叫びながらはやなさんがさらに僕の胸を揉む力を強くする。

「む、むり! もう、やめ、ふひゃ!!」

 僕ははやなさんの気が済むまでいろいろされてしまうのだった。


 十分後……

「うう、お嫁にいけない……」

 僕はしくしく泣きながら膝を抱えて湯船に浸かっていた。はやなさんが謝ってくるが、なら止めて欲しいと思う。

 なにせこの子、文にできないことを僕が泣くまでやったんだから。ノリノリで手伝ったかなねえも顔を真っ赤にしてるし……

 アルトと朱音さんががいい子、いい子と頭を撫でてくれるのがなんか悲しかった。


「ねー、許してよー」

「いやだ」

 風呂を上がって部屋に戻っても不機嫌なままだった。だが、

「はっ!」

 いきなりはやなさんが投げた枕が目の前に迫る。

 反射的にそれをはらう。

「なんなのいきなり?」

 はやなさんの行動がわからず問いかけてみる。

 はやなさんは小首を傾げて笑う。

「遊べば不機嫌じゃなくなるかなと思ったから」

 と答えてくれた。

 まったく、その程度で僕の機嫌がよくなるとでも……

「えい!」

 かなねえのかわいらしいかけ声とともに、ぼすっと後頭部に枕が当たる。振り返ればニコニコとかなねえが次弾の用意をしている。

 よかろう、なら相手になろう。

 さっきはらった枕を拾う。こうして、枕投げ大会が勃発した。

鈴:「温泉のお話、ちょっと描写するのが恥ずかしかったかも……」

刹:「温泉か……」

鈴:「はっはっは、覗きたかったか?」

刹:「ま、まっさか~」

鈴:「目を逸らすなよ」

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