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エンジェルダスト  作者: 鈴雪
第六章 ヴェノム
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第四十五話 買い物、そして、

 さて、皆様、だんだん夏休みが近づいてきました。帰宅時、はやなさんとかなねえはその話で持ちきりです。

「もうすぐ夏休みだね〜。海に行きたいなあ海!」

 楽しそいにかなねえが笑う。そういえばプールとか海が好きだったもんなあ。

 はやなさんもうんうんと頷く。

「みんなで行きたいね。そうでしょ、ノエル?」

「う、うん……」

 僕は曖昧に笑います。海かぁ。まあ、楽しみでわあるんだけど、問題があるんだよなあ……

 だって、みんなで行くとなると海に近い民宿やホテルに泊まることになるだろう。まあ、個人でもそうだけど。で、そういうところは大浴場が定番。

 そう、大浴場……みんなで入るあの。

 ……大人数でお風呂に入るのは苦手だし、もう一つ問題がある。

 だって、僕、元男なんよ? いくら自分のに慣れたとはいえ他の人のは大丈夫なのかと問われればノーだ!

 くっ! 行きたいことは行きたい! だが……

「ノエルどうしたの?」

 そんな僕に不思議そうに問うはやなさん。

「あっ、いえ」

 どうしよう。なんて誤魔化せば……あっ!

「み、水着買わないとって思ってたんだよ! ほら、もう去年の小さいし!」

 と、とっさとは言え、なかなかばっちりな言い訳だと、自画自賛しちゃったりなんかしちゃったりして。

 だけど……

「あっ、じゃあ今度買いに行こっか」

 あー、そうなりますかあ……


 と言うわけでそんな話をした週末、みんなでデパートの水着エリアで色々見ています。

 うーむ、男の時は柄が気に入ったらだったけど女の子ではデザインも気にしないといけない。色々取って鏡の前で見比べてみる。個人的には露出度が低い方がいいけど……

 と、考えていたら、二人が色々な水着を持ってきた。

「ねえねえ、ノエルこれなんてどうかな?」

「これノエルちゃんに似合うと思うよ!」

 と、数々の水着を押し付けられる。そして、僕がなにか言う前に試着室へと連行されていった。

 そして、最初ははやなさんが持ってきた黒のビキニ。

「大人っぽいあなたの雰囲気を強調するための一品」

「うう。露出が少し多くて恥ずかしい……」

 鏡を見ながら呟く。大胆なカットの大人向け水着。隠れてるのは胸とか大事な部分だけと、まるで下着だけで外に出てる気分だ。

 まあ、男の時だって、そうだろ? って意見もあるけど、女になった結果妙な羞恥心まで手に入れちゃったんだよ。うん。

「なら、これどうかな!」

 そういってかなねえが出したのは紫のワンピース。

「落ち着いた雰囲気を醸しだしつつも可愛さを演出するのにいいかなって」

「あ、これいいかも」

 なんとなく恥ずかしくないし、なかなか……でも、

「少し胸が苦しいかな?」

 なんか少し胸元に圧迫感。

「まあ、サイズは後で調整するとして……次!」

 今度はまたビキニ。ただ、今度は白く、腰には蒼のパレオ。さっきのと比べ、露出もだいぶ抑えられている。

「これも……いいかも?」

 うん。候補の一つだ。

 そうして、僕は色々の水着を試着するのだった。


「なかなかいい買い物だったね〜」

 僕の隣を歩くはやなさんが、ん〜っと伸びをしながら呟く。

 あの後、僕たちはデパートで服や小物を見たりしてはやなさんもいくつか買い物をしている。

「だね」

 僕は買ったばかりの水着が入った袋を抱えながら笑う。なんか、この水着は気に入った。どんなのかは今度見せましょう。

「この後どうしよっか?」

「あ、ならそこの喫茶店に寄らない? ケーキが美味しいらしいよ」

 はやなさんの呟きにかなねえが提案する。

 なんかいいなあこの空気。僕は自然に顔が綻ぶ。

 こういうのもあれだが、昔の僕は友達は少ない方だった。中学時代も親しい友達は前田君ぐらいだったし……そう言えば前田君元気かな?

 と、そんなこと考えていたら……進行ルート上に三人の影が現れた。

「君たちかわいいね?」

「よかったら、俺らと一緒にお茶しない?」

 と、いきなり見知らぬ男たちに声をかけられた。

 ……またこのパターンですか?

 二回目ですでに辟易しそう。僕は小さくため息をつく。

 男たちは三人、いかにもなちゃらちゃらした見た目をしている。少しだけ男たちが近づいてくると、はやなさんは身構えて、かなねえは少し怯えたように引いた。で、対して僕は二人の前に出る。

「ね? どうかな? ちょうど人数も三人どうしだし」

「お断りします。」

 僕はきっぱりはっきり断る。この手のタイプははっきり断った方がいいって朱音さんも言ってたし。

「まあまあ、そう言わずにさ、そこでお茶するだけでも」

 そう言って手を伸ばす髪を金髪に染めた男。僕はぱしっとその腕を払った。

「だから、お断りします。行こうはやなさん、香苗さん」

 僕はそう言って、二人とここを離れようとするが、男の一人に腕を掴まれる。

「そうつれないこと言わないでさ」

 あー、しつこい!

 僕は拳を固めて……

「いい加減にしなよ。嫌がってるじゃないか」

 どこかで聞き覚えのある声を聞いた。

 そっちに向き直ると、懐かしい顔であり、さっきまで考えていた相手。

「前田君?」

 僕はついその名前を呟いてしまった。

ノエル、昔の友達に出会う。

これって結構王道なパターンですよね?


では、また次回お会いしましょう。それでは!

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