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エンジェルダスト  作者: 鈴雪
第五章 学校
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第三十五話 ノエルってどんな子?

 皆さんこんにちは、はやなです。

 ノエルがうちの学校に転入してきてもう二週間が経ち、だいぶ彼女もこの学校に馴染みました。彼女自身おとなしく、人当たりのいい性格だから今ではクラスのみんなから好かれています。

 あたしの方は登下校の道が途中から同じだからよく一緒に学校に行きます。今では一番の仲良しかな?

 そして、学校につくと、背の高いなかなか美形な人が校門の前に立っていた。あ、成瀬先輩だ。

「こんにちはテスタロッサさん。はじめまして僕は成瀬明人と言います」

 そう、彼女はその容姿と性格から非常にもてる。数日で裏ランキングの彼女にしたい女の子部門トップに踊り出て、一週間前からは彼女の所に男子が告白しに来るようになった。

 まあ、初めて見た時、思わず妖精か天使かと思っちゃうくらい綺麗だったし人気があって当然よね。あたしなんか一瞬背中に羽があるのを幻視したくらいだ。その羽が黒かった気がするけど……

 ノエルはあたしの方を向くとそっと聞いてきた。

「成瀬さんって?」

「三年の先輩でうちの野球部エースだよ」

 ふーん、と興味なさそうに相槌を打つノエル。

 成瀬先輩はルックスはよく、性格も好青年で女子の人気も高い。

「俺とつきあってください」

 とさわやかな笑みで手を差し出してくる。

 でも、たぶんノエルは振るだろうなあと漠然と予想は着いた。どうも彼女はそういったところに無関心だから。

 そして、直後あたしの予想の通りに、

「ごめんなさい」

 とあっさりと断るのを聞いた。

 そして、呆然とする成瀬先輩の横を「いこ」っとあたしの手をひっぱりながら彼女は通るのだった。


「って、あっさり断っちゃったんですよね〜」

 次の日、部室であたしは先輩にそう報告する。

「へ〜、そうなんだ。これで撃墜数は五人だっけ?」

 イラストを描いていた先輩は顔を上げて少し驚く。

 そう、彼女はこれまで告白してきた男子五人全てをふってしまっている。その中に、今回の成瀬先輩も含め女子の人気がトップクラスの人も二人が入っている。

 理由を聞くと「なんでもないよ」とはぐらかされてしまう。

「よく考えると彼女ってあまり自分のこと話さないんですよね」

「そうなんだ?」

 そう、彼女は自分のことをあまり話さない。家族の話とかもなんにも。たぶん、クラスの誰もが彼女が普段なにをしてるのか知らないだろう。

 私だって、彼女の家を見たことすらないのだ。

「少し気になるね」

 先輩が楽しそうに笑う。

「ですね」

 あたしも笑う。たぶん考えていることは一緒。あたしたちはふっふっふと笑いあうのであった。


「というわけでただいま私たち漫研突撃レポーターはノエルさんの後をこっそり着いていっています」

 放課後、帰宅する彼女を先輩とこっそり尾行する。途中、着いてこようとしたネコはごめんと謝って返す。

 その間見たノエルの行動はまあ普通だった。途中コンビニに寄ってなにかを買ってから店を出る。

 それから、道の片隅で泣いている男の子がいて、ノエルはその子に近寄るとしゃがみ込んだ。たぶん話を聞いてあげてるのかな? ここからだとよく聞こえない。

 男の子が傍にある木を指さすとノエルがそっちに顔を向ける。その木はなかなか立派で結構な高さがあった。そして、そこに風船がひっかかっている。ああ、風船を離しちゃったのかな?

 するとノエルはぽんっと男の子の頭を叩いてから、傍の塀に右足をつける。少しの間ぐっぐと具合を確かめてから、それから残った左足で地面を蹴った! そして、左手で身体を持ち上げ、塀の上に乗る。

 両足が塀の上に乗った瞬間、曲げた足を伸ばしてさらに飛び上がる!そして、空中で風船をキャッチ! 少しスカートがめくれて中ノエルは片手でスカートを抑えながらふわりと綺麗に足から着地した。一瞬またなにか羽のようなものが見えた気がする。

 男の子に風船を渡して頭を撫でる。そして、お礼を言うその子に微笑みながら去っていった。

「いい子だね」

「うん」

 やっぱり彼女はいい人だと思う。率先してなにかするわけでないけど、誰かが困ってたらついつい動いてしまうタイプだ。

 そして、それからすぐ、けっこう広い庭のある白い家に入るノエル。角からこっそり顔を出して持ってきた双眼鏡で確認すると天野と書かれた表札と、その下に『ノエル・テスタロッサ』『アルト』と書かれた表札がもう一つ張り付けてあった。

「あの家に住んでるんだ」

 よし、家の場所は確認完了。今日は撤収しましょうか。

 そう決めてその場を退散しようとして……

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