第二十九話 明日から学校か
で、食堂。アルトと朱音さん、あとアグニとご飯を食べる。時間をズラして来たため他には何人かしか食堂にいない。
ここの食堂はメニューが豊富な上に、おいしいなかなかいい場所だった。
僕は頼んだカルボナーラスパゲッティをアルトと食べる。あーんとしてあげるとアルトは嬉しそうにスパゲッティを食べる。うーん、やっぱりかわいい。僕は目を細めてアルトを見る。
「アルトおいしい?」
「うん、おいしいよ〜」
僕が聞くとアルトは嬉しそうに頷く。それを見て、
「アルトもだいぶ言葉を覚えてきたな」
立ち直って今は鯖味噌定食を食べていたアグニが唐突にそんなことを呟いた。なんでも遊ぶという行為は後に情操教育がどのような結果をもたらすかを調査するための一環だったらしい。
ついでに言えば、この二週間のうちにアルトには出来上がった日本語修正パッチを入れられている。あとは、細かい言葉を教えていけばいいそうだ。まあ、そうでないとアグニが一緒に遊ぶことできないしね。
「そうだね。この一週間ノエルが毎日買ってきた絵本を読み聞かせてあげたおかげかな?」
エビにサツマイモにエリンギなどいくつもの天ぷらとコロッケ二つに卵とワカメとネギにテンカスをたっぷり載せた上で七味をかけたうどんを啜りながら朱音さんが答えた。てか具乗せすぎだよ朱音さん。
「この調子ならあと一、二週間でこっちの言葉に慣れるんじゃないのかな?」
そんなに絵本って効果あるのかな?
僕はアルトにあーんとしながら寸前で自分が食べながら考える。するとアルトがぷうっと頬を膨らましていた。あーもうかわいいなあ。ついつい膨らんだ頬をつつく。
すぐにアルトは膨らませるのを止めてしまう。僕は残念に思いながらアルトの頬をつっつくのをやめた。
「そういえば、圭一は明日から学校だったな」
アグニが思い出したように呟く。
「ん? そうだね」
そう、僕は明日から陣内高校に通うことになっている。実は陣内高校は僕にとって縁の浅からぬ人物がいるのだが、朱音さんが他にちょうどいい学校がなかったとのことで、仕方ない。すでに制服と教科書も準備してあるし、勉強の方も朱音さんに見てもらってたから大丈夫。
まあ、知らない人たちに囲まれて過ごせるかという不安はちょっとだがある。でも、それでも学校生活は楽しみだった。
「そうか、がんばれよ」
「……うん」
アグニにそんなこと言われるとは思っていなかったけから、ちょっと面食らったけど気持ちは嬉しかった、
そんな感じで昼飯の時間は過ぎていった。
余談だが、朱音さんは最後まで卵を残して最後にちゅるんと飲み干した。まるで蛇だった。
そして、そのあと、もう一度訓練をしてから家に帰ってきた。
そして、お風呂上がり。アルトの髪を櫛で梳いてあげる。
朝、アルトの髪を整えて上げてリボンを結んであげる。そして、お風呂前にリボンを外し、上がったら梳いてあげる。これはもうこの二週間でできた日課だ。
この髪を梳くのが僕は割と好きだ。アルトの髪は量が多いから大変だけど触ってて感触がよくていい感じ。アルトも髪を梳くのが好きなのか終始笑顔だ。
「んっ、終わったよ」
ぽんとアルトの頭に手を置く。
「ママありがとー」
アルトがぺこりと頭をさげてお礼を言う。僕はその様子がかわいくてついつい頭を撫でてしまう。その様子を朱音さんが眺めていて、
「早く寝ちゃいなよ。明日からノエル学校あるんだから」
はーいと僕とアルトは元気よく頷いた。
んで、今は僕はアルトと一緒に布団に入っている。すでにアルトはすーすーと静かな寝息を起てて眠っている。
僕は何となくアルトから視線を壁の方に向けた。そこには僕が明日から通う学校の制服がかかっている。胸元に赤いリボンに、長すぎず短すぎないスカート。所々が女の子が好みそうなデザインになっている。
一度着てみたけどなかなかいい感じでアルトも「ママにあってるよ〜」って言ってくれてちょっち嬉しかった。
「よろしく頼むね」
僕はそう服に頼んでからアルトをキュッと抱き締めて眠りに落ちた。
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