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エンジェルダスト  作者: 鈴雪
第四章 アルト
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第二十七話 ぐちぐちぐっち〜♪

 僕はアルトとベッドに入る。でも、このベッドはもともと一人用でアルトが小さいとはいえ二人だとちょっと狭い。

「大丈夫? 狭くない?」

「ん〜ん」

 アルトは嬉しそうに笑って僕に抱きついてきた。

「ママのおっぱいおおき〜」

 すりすりとアルトが僕の胸に顔を擦り付いてくる。う、ま、まあ一般より大きい。確か朱音さんがEだって言ってたっけ……て、さすがに恥ずかしいな。

「あ、アルト、できたらそろそろやめてもらえないかな?」

 くすぐったさとか恥ずかしさで真っ赤になって頼むとアルトは名残惜しそうに顔を離した。

 ふ、ふう助かった。正直、胸って存在にはまだ慣れてないし、

「あのね、ママ〜」

「ん? なに?」

 思考から戻ってアルトに聞くとアルトははにかむように手を出してきた。

「あのね、おててにぎってて」

「うん。いいよ」

 そして、アルトが安心できるよう手を握ってあげる。アルトはえへへと嬉しそうに笑ってくれた。僕も頬が緩む。

 かわいいなあと思えた。

「アルト、おやすみ」

「うん、ママおやすみ〜」

 目を閉じると、すぐにアルトは規則正しい寝息をたて始めた。

 あまりにかわいくて僕はぷにぷにその頬を突っつく。そんなことしてたら、

「ノエルもう寝た?」

 朱音さんが部屋に入ってきた。

「いえ、起きてますよ」

「じゃあ、ちょっといいかな?」

 どうしたんだろう? こんな時間に、ってまだ九時にもなってないっけ、

 僕はアルトと繋いでいた手を放してそっとベッドから抜け出す。

「なんですか?」

「ん、ちょっとね」

 そうだけ言って歩きだす朱音さんに僕も着いていく。

 そして、到着したリビングで朱音さんは嬉しそうにグラスとワインボトルを準備した。よく見ればテーブルにはおつまみらしきチーズやジャーキーが置いてある。

「……あの、朱音さん?」

「これ、結構高かったんだよね〜」

 そう言って朱音さんはコルクを抜いてとくとくとワインをグラスに注いだ。えっと、だから朱音さん、一体何を?

 朱音さんはここ一週間で僕の定位置になった席にワインの注がれたグラスを置く。

「ほらほら、せっかく入れたんだから早く飲もうよ」

 あ、やっぱり?

 まあ、グラスが二つあったんで予想はできたが、でも、

「僕未成年ですよ?」

「大丈夫、私だって十五の時から飲んでたし、それに君の身体はアルコールは飲んでもすぐに分解されるから酔うことなんてないしね」

 さいですか……

 僕は諦めて椅子に座り、グラスを取る。

「ごちになります」

「はい、どうぞ」

 朱音さんはそんな僕を頬杖をついて眺める。

 んで、一口。

「おいしい……」

 自然と言葉が出た。なんていうべきなのかよくわかんないけど、すごくおいしい。

「当り前だよ。これ最高級のワインだよ」

 朱音さんが笑いながら自分もグラスに口を付ける。それから、置いてあったジャーキーを一口、なんか、似合わないよなあジャーキー。朱音さんの見た目にもこのワインにも。

 そう思いながらも僕もジャーキーを食べる。だってうまいもん。

「にしても、うらやましいな〜」

 朱音さんは柔らかい笑顔で僕のことを見る。

 ん? 何がだ? ジャーキーをぱくつきながら話を聞く。

「私には子供いないのに、君にはもう……」

 およよ〜と、朱音さんがわざとらしく泣く。

 だってなあ……

「朱音さん旦那さんいないじゃん」

 ぽろっとそう零す。子供欲しいならまずはいい人見つけないと、

「私もう結婚してるんだけど……」

 朱音さんの独白にぽろっと咥えてたジャーキーを落としてしまった。

 え? うそ……

「ええええ?! 朱音さんもう結婚してたの!?」

「……なんか失礼な反応だね」

 思わず身を乗り出して聞く僕に朱音さんが白い目を向ける。

 だって、朱音さんってすごい美人でいろいろできる人で高嶺の花って感じするし、それを落とした猛者がいたとは!

 あれ? でも、

「旦那さん見た覚えないですよ?」

「遠くに仕事行ってるからねえ」

 そうなんだ……そこで朱音さんは飲み終わったグラスに次の分を注いで、また一口、

「ほんと、うらやましいなあ」

 ……すいません朱音さんなんでそんな低い声なんでしょうか? それに、なんでもう目が据わってるんですか? そして、なんでしょうかこの悪寒は?

「私なんてまだできないのに……毎晩頑張っても無理だったし、不妊治療なんて意味ないし、四日ほど生理来るの遅れてもしや〜!? なんて期待してヌカ喜びしたことだってあったっけ……」

 やばい、本格的にやばい……

 逃げようと思ったけどいつの間にか僕の首元に突き付けられた鎌を見て諦めた。おとなしくお話を聞けばいいんですね……

「それにね彼はいい人だけど、でも不満がないわけじゃないんだよ? そりゃあ、私のこと大事にしてくれて、ちょくちょくプレゼントとか送ってくれるけど、でもね、優柔不断でうっかり屋さんで、鈍感で甲斐性なしでデリカシーない上に物事深く考えないで子供じみたことするし、人がひた隠しにしてる趣味を暴露したりするし、気障なものいいしたりもするし、子供の頃から中身がなんも成長してないんだよ。それも彼の美徳ではあるけど、でももうちょっと成長してほしいの。ああ、あとドがつくほどのシスコンなところも直すべきだね。本当に妹に甘くて……」

 その後、日にちが変わっても間朱音さんの旦那さんに対する愚痴は続き僕がベッドに戻れたのは四時ぐらいであった。

 戻るとアルトはすごく幸せそうに眠っていた。僕はその頬をまたぷにぷにする。

 ぐすん……アルト、ママもう挫けそうだよ……


鈴:「刹那……お前」

刹:「言うな、頼むからなにも言わないでくれ」

鈴:「朱音にここまで(不満を)言わせるなんて……刹那、恐ろしい子!」

刹:「うっせーよ!!」


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