−another view− 朱音
−another view−
草木も眠る丑三つ時、私−−天野朱音は圭一の部屋にこっそりと侵入した。理由は簡単圭一の寝顔を覗くため。
物音を立てないように圭一のベッドに近づくと屈み込んで布団の中の圭一の寝顔をそっと覗き込む。そこに圭一の無防備で安らかな寝顔があった。
私は緩い笑みを浮かべる。私は人の寝顔を見るのが好きだ。大好きだ。寝てるときは大抵は誰だって無防備だから。記憶に薄いけど父もそうだった。決して厳格な人ではなかったはずだけど、それでも寝顔を見るのは新鮮だった覚えがある。刹那は寝言だらだらで、おかげで仕返しの準備はちゃくちゃくと進んでいる。ふふふ、いつか万倍で返してあげないと。
ぷにぷにと圭一の頬をつっつくと圭一は眉間にシワを寄せる。その様子が可愛くてついへら〜っとさらに頬が弛んでしまう。ああ、かわいい。抱きしめたい頬ずりしたいお持ち帰りしたい。軽くキスするぐらいならオッケーかなあ? せめて記録映像に撮っておくのは許してね♪
ああ、きっと彼は元の姿でも可愛い寝顔を見せてくれたに違いない。うん。是非見てみたかった。
だけど、私の可愛い好きオーラに当てられたのか、圭一の眉間によりシワが集まって、冷や汗をかきながらうーんと唸っている。残念だけど、起きちゃいそうだし、そろそろ止めとこうかな……
そう決めて私はちょんと軽く圭一の頬にキスをしてから立ち上がる。
「お休み、圭一」
鈴:「朱音さん?」
朱:「言わないで……」
鈴:「……本当にレズ?」
朱:「言うなー! お願いだから言わないでー! 魔が差しただけなんだからー!」
刹:「だが、人の寝顔を観察するのが趣味って、悪趣味だぶるぁ!」
朱:「だまってなさい刹那」
刹:「……はい」
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